研究課題/領域番号 |
20K08367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
高橋 秀明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (60367323)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | HBV / 核酸アナログ / microRNA / 肝発がん / 核酸アナログ治療後 / プロファイル / 核酸アナログ製剤 / 治療後 / 経時的変化 |
研究開始時の研究の概要 |
核酸アナログ(NA)などの抗ウイルス療法によりB 型慢性肝炎(CHB)の制御が可能となり、肝細胞癌発症のリスクを減少させることが可能となったが、炎症・線維化を改善させても発がんする症例が少なからずあることが問題となっている。本研究では、同一患者のNA 治療前後及び発がん前後でmiRNA のプロファイルを比較する大規模コホート調査を行い、肝発がんに関連するmiRNA を明らかにする。本研究により肝発がんリスクマーカーとなるmiRNA を同定できれば、CHB 患者の発がんリスクを予測できるばかりでなく、miRNA の発現制御を行うことで発がん予防や治療も可能となると考えられ、臨床的意義が大きい。
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研究実績の概要 |
研究代表者らは今までに、肝組織のmicroRNA(miRNA)のプロファイルの変動と肝発がんリスクの間に一定の相関があることを発見した。予備的な解析において、 肝組織におけるmiRNA発現プロファイルの時間的変化を比較検討した結果、治療後に長期間にわたり発癌しなかった群『非発癌群治療後』のmiRNAプロファイルは、 治療前のそれとは明らかに異なっており、『正常肝』に最も近い発現プロファイルとなることがわかった。発癌した症例群における治療前のmiRNAのプロファイルは、『正常肝』から最もかけ離れており、かつ治療後(非癌部)にも正常化には至っていないことが明らかとなった。このことから、『発がん群治療前』のmiRNAプロファイルの蓄積・持続が、肝発がんへと誘導している可能性が示唆された。さらに発癌リスク因子として同定した特定のmiRNAでの定量的PCRのプロファイル解析ではその傾向は一層明らかとなり、『正常肝』以外は全て従来のくくりで は『慢性肝炎』であるものの、『発癌群治療前』は検体間での発現差が小さく、かつ『正常肝』 および『非発癌群治療後』とは明らかに異なっていた。さらに発癌リスク因子として同定した特定のmiRNAでの定量的PCRのプロファイル解析では、その傾向は一層顕著となり、『正常肝』以外は全て、従来のくくりでは『慢性肝炎』であるものの、『発癌群治療前』は検体間での発現差が小さく、かつ『正常肝』および 『非発癌群治療後』とは明らかに異なっていた。これらの結果の確認・検証のため、現在、多数の検体で確認すべく研究を進めている。また、上記の結果を踏まえて統計解析を進めた結果、多変量解析で発がんを予測するmiRNAがいくつか抽出されてきている。こちらに関しても後ろ向き、および前向きの検証を進めて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で臨床の多くの時間がそちらに割かれてしまっていること、学会・研究会などが制限もしくはWebでの開催となっていることから、共同研究者との面談・会合の延期、共同研究施設への訪問や新たな協力施設の開拓が滞ってしまっていることから、サンプルの確保が予定より大幅に遅延していることが主な原因となっている。しかしながら研究内容的には、発がんに関与する、もしくは発がんを予測する因子(microRNA)の抽出は順調に進んでいる。今後新型コロナ感染の5類への移行などが進めば、上記のような状況が徐々に改善していくことも予測され、研究が進展してくるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
我々の行っている研究方法や絞り込み(詳細なグループ分けと候補のmicroRNAの抽出)が正しいのかの確認、検証のため、今後、多数の検体で確認すべく研究を進めている。これらの確認、検証は可能であれば他施設での検体を用いて行えればと考えている。また、統計解析を進めた結果、多変量解析で発がんを予測するmiRNAがいくつか抽出されてきている。こちらに関しても後ろ向き、および前向きの検証を進めて行く予定である。さらに、「先進ゲノム支援」を利用し、次世代シーケンサーによるmiRNAのトランスクリプトーム解析を行うことも検討している。さらに、今後も共同研究施設間の連携・協議と、新たに参加して頂く施設へのアプローチを進めていければと、考えている。
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