研究課題
基盤研究(C)
Protein kinase R (PKR)は一部の代謝関連蛋白質に影響を与えており、NASH関連肝細胞癌における、PKRの代謝異常を介した役割を想定した。PKRノックアウトマウスを作製し、二光子励起イメージング技術により、PKRが肝線維化および肝細胞癌発症に与える影響を明らかにする。またメタボロミクス, ゲノミクス, プロテオミクス解析を駆使し、PKRが制御している代謝酵素のスクリーニングを行う。得られた候補分子については生体イメージングシステムの応用により機能解析を行う。以上の結果、NASH関連肝細胞癌の分子メカニズム・治療標的を代謝異常という新しい観点から明らかにし、創薬に結びつける。
我々はこれまでに肝細胞癌においてPKR阻害剤 (imidazolo-oxindole)が腫瘍の増殖を抑制することを示した。本研究ではPKR阻害剤の標的蛋白質として、解糖系の主要酵素であるHexokinase-2を同定した。PKR阻害剤添加により、肝癌細胞株でHK2の発現が減少、またPKRとHK2はPKRリン酸化依存的に直接結合した。PKR阻害剤は解糖系抑制により細胞内ATP産生を低下させた。さらにHK2とPKRの過剰発現により腫瘍増殖が相加的に増加した。肝細胞癌ではPKR-HK2 axisが解糖系の促進により腫瘍増殖が亢進させており、肝細胞癌における新規治療標的となる可能性がある。
肝細胞癌における治療標的となる分子や経路はごく限られており、治療効果のエビデンスのある薬物は十分ではないのが現状である。我々は以前より肝細胞癌で高発現するPKRの役割、癌促進機序を研究してきた。本研究ではPKRが肝細胞癌の細胞内代謝に関わる複数の分子に影響を与えていることを見出した。その中で特に解糖系の主要分子であるHK2に着目し研究を行い、PKR-HK2経路が解糖系の促進を介して腫瘍増殖能を亢進していることを見出した。このことは細胞内代謝経路の変化という新たな視点での治療標的になり得ると考えられた。
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