研究課題/領域番号 |
20K08400
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 好久 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50523916)
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研究分担者 |
三上 敦 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任教授 (60271524)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Muse細胞 / 心筋梗塞後心不全 / 心筋再生 / 心機能改善 / 臨床応用 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類の成体の心臓には、心筋梗塞などで障害を受けた後の再生能力がない。現在の急性心筋梗塞治療として、急性期の冠動脈形成術による冠動脈再灌流や各種薬剤による心臓リモデリング抑制、心機能保持が期待されますが、心機能低下例においては現存治療に限界があります。そこで我々は急性心筋梗塞治療に免疫応答に寛容で心筋への分化が期待できる間葉系由来のMultilineage-differentiating stress enduling cells ( Muse細胞 )を用いて心筋梗塞後心不全に対する心筋組織再生を目指すことを目的とした。
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研究実績の概要 |
う事実から、心機能回復に至る薬品や細胞治療は未だに確立されておらず、今後も臨床現場に上がると期待されるものは数少ない。 そこで我々は心筋梗塞後心不全の治療法として、多能性があり腫瘍化しないMuse細胞に着目した。まずは基礎実験としてウサギより骨髄を採取し、多能性を示すSSEA3陽性のMuse細胞を分離、培養し、同じウサギの心筋梗塞後に経静脈的に(自家、Autograft)細胞移植した。これらのモデルでMuse細胞の心筋組織への生着、分化と、その心機能改善を確認した。我々は今後臨床での心筋梗塞後の心筋再生療法を推進する上で、より大型動物のブタを用いて移植されたヒトMuse細胞がその免疫寛容性や心筋への分化、組織再生に寄与するかどうかを実証するべきと考えた。実際にブタ心筋梗塞モデルを作成し、ヒト骨髄由来Muse細胞移植を行い、2週間後の心機能回復を心臓超音波検査、組織検査にて確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NIBS系ミニブタ(体重約15Kg)を獣医麻酔科医師による全身麻酔下で左冠動脈中部を30分結紮、再還流し急性心筋梗塞を作成した。実験経過中は動脈圧で血圧を、心電図モニターで不整脈等の出現を管理した。致死性不整脈出現時には除細動器を用いて循環動態を回復させた。術後翌日に対照群には生理的食塩水を、細胞移植群にはGFP標識したヒトMuse細胞を経静脈的に約1000万個移植した。 再還流2週間後に血液検査、心臓超音波検査等施行した。摘出心臓でMasson Trichrome染色し心筋梗塞サイズを計測した。CD31免疫染色で血管新生を、またTroponin I免疫染色で心筋への生着、分化を確認した。対照群と細胞移植群でそれぞれ10匹ずつモデルを作成し、動物実験、組織検査、解析等同時並行で行った。その結果、Muse細胞投与群で対照群と比較し心機能は良好に保たれ、組織の線維化は軽減されていた。また、Muse細胞の心筋細胞や血管への分化を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトMuse細胞移植群で不整脈の出現の有無確認のため、植込み型心電計を使用した。2週間生存のブタでは不整脈は確認されなかったが、心筋梗塞作成後に死亡したブタに関しては心電計の植込みを行っておらず死因の詳細は不明であった(心不全死もしくは不整脈死、またはその他)。他個体での検証も必要と考える。 また、これまでの実験結果からは実際に投与されたヒトMuse細胞がブタ心筋にどの程度集積、分化したかは不明である。標識されたヒトMuse細胞を心筋梗塞後に移植し、その生着細胞数と有効な投与細胞数を組織学的に検証する必要がある。
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