研究課題/領域番号 |
20K08407
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岸 拓弥 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (70423514)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 心不全 / アストロサイト |
研究開始時の研究の概要 |
慢性心不全は、脳を中枢とする多臓器が連関した循環恒常性維持システムの破綻である。脳内のタンパク質やサイトカインを排泄するグリンパティックシステム(グリア+リンパ)が脳の環境・機能保持を担っていることが注目され、その首座はグリア細胞アストロサイトの水チャネルであるアクアポリン4である。そこで本研究ではアストロサイトのアクアポリン4異常によるグリンパティックシステム不全が循環恒常性破綻から慢性心不全を進展させるという仮説を解明し、「心不全は脳によるロバスティックな生命維持システムの不全である」という概念創出ならびに「脳を治療標的とする革新的慢性心不全治療開発への基盤」とすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
心不全モデルラットにおいて、アストロサイトによる脳内ドレナージシステムであるグリンパティックシステムは機能不全になり、その主たる原因はアクアポリン4であることを明らかにした。また、正常ラットにおいて、アクアポリン4阻害薬を脳室内に投与するとグリンパティックシステムは機能不全になり、血行動態が悪化し心不全となることも確認できた。さらに、心不全モデルラットにアクアポリン4刺激薬を脳室内投与するとグリンパティックシステムの改善・血行動態改善・循環恒常性改善を認めた。慢性心不全においては脳内アストロサイトのグリンパティックシステムがアクアポリン4阻害により機能不全となり、治療標的になる可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
心不全パンデミックと言われるほど社会問題となっている慢性心不全は、さまざまな治療法が出現しているにもかかわらず、依然として1年死亡率が16%にもなる。これは、現存の治療手段が不十分であることを示している。慢性心不全の発症進展において重要な機序である交感神経の過剰な活性化については。β遮断薬内服によりある程度は抑制できているが、交感神経を規定する脳に作用する治療手段ではない。今回の結果は、その脳における根本的な異常を示したものであり、治療標的となる可能性も示すものである。本研究で得られた結果をもとに、革新的な治療開発に向けたシーズとなることが期待できる。
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