研究課題/領域番号 |
20K08410
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
竹田 健史 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教 (90340009)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | Mule / 細胞内タンパク質品質管理機構 / CHK1 / AGEs / 細胞内タンパク質品質管理 / タンパク分解 / Kmur |
研究開始時の研究の概要 |
Mule/HUWE1はHECT型E3リガーゼとして機能する約460kDaの巨大な分子である。 心臓においてMuleは酸化ストレスに対して保護的に働き、心疾患を有する患者ではその発現レベルが有意に低下していることが近年報告されたが、Muleの心筋保護的な作用機構の詳細については不明な点が多い。 本研究では、Muleの基質分子の一つとして知られ、DNA損傷チェックポイント機構に働くCHK1やその不活性化変異体が、Muleによってどのように認識・分解されるのかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
慢性的な高血糖によって体内の過剰な糖が蛋白質と反応して終末糖化産物(AGEs)が蓄積し、心筋の蛋白質恒常性低下の一因となる。フルクトースおよびグルコースの代謝中間体であるグリセルアルデヒド(GA)は反応性が高く、蛋白質のアルギニンやリジン残基を修飾してGA-AGEsを形成する。GA-AGEsは比較的に毒性が強く、糖尿病性の病的心臓リモデリングと密接に関連していることが知られているが、その機序は不明な点が多く残されている。興味深いことに、GA投与により細胞内GA濃度を上昇させると、選択的オートファジーに重要な役割を果たすp62/SQSTM1が徐々に細胞内で高分子架橋体を形成し、時間と共に不溶性画分への移行が観察された。一方、Muleの蛋白レベルを調べると、ウェスタンブロット解析ではそのバンドがGA投与によって数時間で消失した。これらの結果は、細胞内蛋白質のGA修飾によって選択的オートファジーの抑制や、Muleのような特定のE3リガーゼが変性し、異常蛋白質の蓄積を誘導する可能性を示した。 これまでに、細胞内GAレベルの上昇がDNAストレス応答を惹起することが知られていることから、細胞周期の監視役であるCHK1や、そのN末端断片(CHK1-CPs)に着目し、それらのGA修飾による影響を解析した結果、CHK1-CPsや、そのキナーゼ活性を持たない変異体(d270KD)が、GAの影響を受けて、主としてユビキチン・プロテアソーム経路を介して迅速に分解されることを発見した。このGA応答性分解はMuleをノックダウンしても影響を受けないことから、GA修飾を認識して迅速に分解する独特なE3リガーゼが関与するユビキチン-プロテアソーム経路の存在を示唆しており、今回発見したd270KDはその分解経路を解析するために有用な分解基質モデルとなる可能性がある。
|