研究課題/領域番号 |
20K08421
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
馬場 志郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (60432382)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 心不全 / HOIL-1L異常 / ユビキチン化 / HOIL-1L異常症 / 筋症 / 心筋症 / 心筋発生 / iPS細胞 / 細胞周期 / 線維化 / 拡張型心筋症 / アミロペクチン |
研究開始時の研究の概要 |
HOIL-1L異常症患者は心筋症を起こすが、その発症・進行機序については全く未解明である。過去文献から唯一判明していることは、心筋細胞内にアミロペクチン蓄積が確認されていることのみである。アミロペクチン蓄積はグリコーゲンの分枝結合バランスが崩れた時に起こる。HOIL-1L異常症においてグルコース代謝経路の酵素活性異常によりglucose-6-phosphate が蓄積、glycogen synthase活性が亢進し、結果的にアミロペクチン蓄積が生じている可能性がある。本点が注目すべき研究のポイントとなり、心筋症発症・進行機序解明の糸口となる可能性が高い。
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研究成果の概要 |
HOIL-1L異常症における心筋症発症機序解明のため、ヒトiPS 細胞から心筋細胞を作製し評価を行った。患者iPS細胞、HOIL-1LノックアウトiPS 細胞由来心筋細胞では核数や細胞サイズに異常を認めた。また、骨格筋モデルとして使用したC2C12細胞のRNA シークエンスの結果(細胞成熟異常)をもとに、心筋細胞分化過程における細胞周期について評価したところ、HOIL-1L異常iPS細胞由来の心筋細胞ではM期の心筋細胞蓄積を有意に認めた。以上から、HOIL-1L異常症における細胞周期制御を介した心筋成熟異常が心筋症発症の原因の一部である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、HOIL-1L欠損症における拡張型心筋症発症に関する研究の報告は皆無であるが、ここまでの本研究で得られているデータからは、細胞内アミロペクチン蓄積・アポトーシス・自己炎症と拡張型心筋症発症との関わりだけでなく、心筋細胞の分化成熟異常と拡張型心筋症発症との関わりについて結果が得られており、極めて新しい知見である。多くの拡張型心筋症は単一遺伝子病としてではなく複合的な要素が関連して発症することが知られている。単一の遺伝子異常で、この様に様々な側面から拡張型心筋症発症機序解明について研究が可能である可能性が高く、多くの拡張型心筋症患者の予後改善に結びつく結果が期待される。
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