研究課題/領域番号 |
20K08426
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井手 友美 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90380625)
|
研究分担者 |
池田 昌隆 九州大学, 医学研究院, 助教 (10567382)
山田 健一 九州大学, 薬学研究院, 教授 (60346806)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | フェロトーシス / 脂質過酸化 / 心不全 / 心筋症 / ミトコンドリア / 心毒性 / 抗がん剤 / 薬剤性心筋症 |
研究開始時の研究の概要 |
がん治療の進歩とともに薬剤による心血管病の合併が予後やQOLを左右する。アントラサイクリンは最も使用される抗がん剤の1つであるが、その心筋障害の機序は未だ議論の対象であり有効な治療法もない。申請者らはドキソルビシンによる心筋傷害がGPx4低下と脂質過酸化を介したフェロトーシスが原因であることを示した。本研究は、①脂質ラジカルを介したドキソルビシン心筋症の分子機序の解明、および②有効な治療薬の同定と効果の検証、を目標とする。脂質ラジカル捕捉によりフェロトーシスの役割と分子機序を明らかにする。薬剤スクリーニング系を用いて既存薬から心筋細胞のフェロトーシスを抑制しうる薬剤を同定する。
|
研究成果の概要 |
フェロトーシスは鉄依存性に生じる細胞死として2012年にDixonらによって提唱されたプログラム細胞死である。本基盤研究により、我々は、ドキソルビシン心毒性におけるフェロトーシスの役割、誘導分子機序、そしてフェロトーシスを標的とした治療法の可能性について明らかにした。ドキソルビシンによる心筋障害では、ミトコンドリアDNAのコピー数依存にドキソルビシンがミトコンドリア内に蓄積し、ミトコンドリアにおけるヘムの合成障害に起因する鉄の過剰状態が原因となり、過酸化脂質が増加し、フェロトーシスによる心機能障害が生じることを明らかにした。さらに、アミノレブリン酸投与により予防できることを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アントラサイクリン系抗がん剤(代表薬剤:ドキソルビシン, DOX)は多様な癌腫に古くから用いられている抗がん剤であり、 現在でも卵巣癌, 乳がん, 悪性リンパ腫など多くの癌腫に対する標準治療薬である. しかし、DOXは総投与量依存性に心機能障害(心毒性)を生じ, その終末像であるドキソルビシン心筋症は極めて予後不良であることから, ドキソルビシン心毒性の病態の理解とその克服が目指されてきたが、今だ解決には至っていない。ドキソルビシンによる心筋傷害の分子機序の解明により治療ターゲットが明らかとなることで、多くの抗がん剤治療の患者が副作用としての心毒性を克服し、予後改善につながることが期待される。
|