研究課題/領域番号 |
20K08467
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井原 健介 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (50770210)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 拡張型心筋症 / RNA顆粒 / 心房細動 / RBM20 / Rbm20 |
研究開始時の研究の概要 |
拡張型心筋症(DCM)は心不全の重要な基礎心疾患の一つであるが病態メカニズムの解明が進んでおらず、医療技術の進歩によってもいまだ根本的治療は心移植しかない難病である。近年、DCM原因遺伝子の解析が進み、原因遺伝子毎に重症度が異なることが報告されてきた。なかでも重症DCMを呈するとされるRBM20遺伝子に関して、患者型変異を導入した遺伝子変異マウスで心機能を解析したところ、ヒトと同様に重篤なDCMを呈することが分かった。本研究では同マウスを使用して、なぜRBM20がより重篤なDCMを呈するのかそのメカニズムを明らかにするため、次世代シークエンスを用いて解析を行う。
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研究実績の概要 |
スプライシング制御因子RBM20の変異はその機能喪失によりタイチン(TTN)遺伝子などの標的遺伝子のスプライシング異常を介して拡張型心筋症(DCM)を生じるとされてきたが、我々はRBM20変異によるDCM症例において変異が集中するRSRSP配列がRBM20の核移行に重要であり、RSRSP配列の変異はRBM20の核移行能の喪失をもたらし細胞質において凝集体を形成し機能獲得することがDCM発症やその不整脈原性(特に心房細動)に重要であることを報告してきた。昨年度までにRBM20に対するRNA免疫沈降実験を行い細胞質の変異型RBM20凝集体がRNAを内包していることを確認したが、当該年度においてはRNA免疫沈降で得たmRNAを用いて網羅的解析を行った。RNA免疫沈降で得たRBM20結合RNAおよびRbm20 KIマウス心臓における発現変動遺伝子を比較検討したところ、発現低下遺伝子うち約半数がRBM20結合RNAにenrichされている一方で、発現増加遺伝子のうちRBM20結合RNAは約2割にとどまり、RBM20と結合するRNAは遺伝子発現低下を示しやすいと考えられた。この所見は昨年度までの検討でのRBM20と細胞質において結合すると考えられるコネキシンの遺伝子発現低下をきたす所見に一致すると考えられた。また、これまでの検討から変異型RBM20凝集体は細胞質においてmRNAを内包するRNA顆粒と考えられるが、生理的に細胞質においてRNA代謝を司るRNA顆粒としてP-bodyが知られている。変異型RBM20凝集体とP-bodyの関係性を調べるために免疫染色を行ったところ、凝集体とP-BodyマーカーであるDDX6が共局在していることがみとめられ、変異型RBM20はP-bodyに局在しそのRNA代謝に変容をきたし、DCM発症や心房細動発症に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心房特異的Rbm20S637A発現マウス系統の解析に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
心房特異的Rbm20S637A発現マウスの作成は完了しており、今後その解析を行いin vivo/in vitro両面から変異型RBM20の心不全・スプライシング異常に依らない心房細動病態形成への直接的な寄与を検討する。
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