研究課題/領域番号 |
20K08488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東邦 康智 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10586481)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 心不全 / RNA代謝 / RNAヘリカーゼ / 炎症 / DNA損傷 / ミトコンドリア機能障害 / 遺伝子治療 / ヘリカーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
多因子疾患である心不全は、複雑な生物学的プログラム全体の偏移により引き起こされる。生物学的プログラムはゲノム情報が蛋白質合成に変換されることで実行される。その変換はRNAを介して行われる。RNAは転写から翻訳の過程において様々な代謝調節を受ける。代謝調節機構はRNAの機能発現を変化させ、最終的に生体機能を変化させる。しかし、心不全におけるRNA代謝調節の役割とその機序は十分に解明されていない。 本研究ではRNA代謝調節因子DEAD-box型RNAヘリカーゼに着目し、その心不全の病態生理における役割と機序を明らかにする。さらに、RNAヘリカーゼを標的とする新規心不全治療の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
心不全発症にRNA代謝の変容が寄与するがその機序は不明である。DEAD-box型RNAヘリカーゼDDX41はRNA代謝に寄与する酵素である。本研究では心不全の病態におけるDdx41の役割とその機序の解明を行った。Ddx41はヒト不全心において発現が増加しており、心筋細胞特異的Ddx41過剰発現マウスでは圧負荷や心筋梗塞後の心不全の予後が悪化した。Ddx41は炎症関連因子のRNA及び蛋白質と結合し、心筋細胞におけるDNA損傷やミトコンドリア機能障害を増悪させた。Ddx41の発現抑制はその負の作用を抑制して、心筋細胞保護的に作用した。Ddx41は心不全の新規治療標的となり得ることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
予後不良の病態である心不全は超高齢化社会である我が国において急増しており、新規治療法の開発が急務である。本研究により、RNA代謝の担い手であるRNAヘリカーゼDdx41が心不全の病態に深く寄与することを解明した。心不全発症におけるRNA代謝の変容の重要性とその治療的介入点が明らかとなった。 学術的には、Ddx41が炎症関連因子のRNA及び蛋白質と結合し、DNA損傷とミトコンドリア機能障害を誘導することを解明した。心不全発症におけるRNA代謝と炎症誘導機構をつなぐ機序の一端が明らかとなった。Ddx41はがん等の疾患の発症にも寄与しており、本研究成果は心不全以外の疾患の病態生理の解明につながる。
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