研究課題/領域番号 |
20K08505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
徳留 健 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (00443474)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 抗癌剤誘発性心筋症 / ドキソルビシン / 心不全 / マウス / グレリン / トラスツズマブ |
研究開始時の研究の概要 |
昨今の癌薬物療法の進歩は目覚ましい。しかし、抗癌剤は様々な頻度・重症度で心筋障害・心機能低下を引き起こすが、抗癌剤による心筋障害を根本的に予防・治療することは困難である。申請者の研究テーマは「グレリンの循環器疾患への治療応用」であり、これまでに心筋梗塞・心肥大・心不全モデルに対するグレリンの治療効果について多くの知見を発表した。グレリンはラット胃から発見された「摂食亢進作用・成長ホルモン分泌促進作用・骨格筋量増加作用」等を有するホルモンである。本研究の目的は、「グレリンの生理作用を応用した、抗癌剤による心筋障害の画期的治療薬を開発すること」である。
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研究実績の概要 |
ドキソルビシン(DOX)は悪性リンパ腫・乳癌・肺癌等の治療に広く用いられている抗癌剤だが、不可逆的な心毒性を来すことがあるため、使用に際しては経時的な心機能評価が必要である。DOX誘発性心不全モデル動物としてラットやマウスが使われているが、論文に報告されているDOXの投与プロトコールは様々である。そこでヒトの病態を正確に反映する動物モデル確立のため、DOXの投与量・投与回数を野生型マウス(C57BL/J)を用いて検討した。まず4 mg/kg/weekで5回の腹腔内投与を行い、投与終了後4週間をおいて心エコーを行った。対照群には生食を投与した。結果、DOX群で優位な体重減少を認めたものの、全観察期間を通じて死亡個体は無く、心エコーでも心機能には異常を認めなかった。次に投与量を2倍にして(8 mg/kg/week)、同様の検討を行った。結果、全観察期間中にDOX群では20匹中7匹が死亡した。またエコー検査の結果、優位な左室壁厚減少・左室内径短縮率の低下を認めた。しかし、心臓重量のみならず肝臓・腎臓・脾臓重量/脛骨長比も生食軍に比べ優位に減少しており、ANP・BNPの心臓におけるmRNA発現レベルは生食群と同等であった(ヒトの病態では血中ANP・BNPは増加する)。これらのことは、本モデルが心臓特異的ではなく多臓器にDNA合成障害をもたらしたと考えられる。よってDOX複数回投与では、ヒトの病態を正確に反映したマウス心不全モデル確立は困難であった。文献的にはDOXを単回投与するモデルも報告されているため、今後はDOX単回投与を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過去の文献報告に倣ってマウスにドキソルビシンを投与してみたが、多臓器のDNA合成障害と思われる状態となり、ヒトの病態を反映したモデル構築が難しい。
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今後の研究の推進方策 |
文献的にはドキソルビシン単回注射による心不全モデルも報告されているため、今後は単回投与でヒトの病態に近い心不全モデルが作製できるか検討する。
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