研究課題/領域番号 |
20K08524
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
光石 陽一郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (10647001)
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研究分担者 |
白石 友一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (70516880)
林 大久生 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70569128)
高橋 和久 順天堂大学, 医学部, 教授 (80245711)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 小細胞肺癌 / 酸化ストレス応答経路 / Keap1-Nrf2経路 / 非小細胞肺癌 / 抗癌剤耐性 / 酸化ストレス経路 / スプライシング |
研究開始時の研究の概要 |
小細胞肺癌は肺癌全体の15%程度を占める極めて予後不良な疾患である。近年の小細胞肺癌の大規模ゲノム解析でも新たな治療標的になる知見に乏しい。申請者は非小細胞肺癌で高頻度に体細胞変異を認める酸化ストレス応答系(KEAP1-NRF2系)に着目している。本研究は小細胞肺癌における酸化ストレス応答系の破綻が癌細胞内でどのような役割を果たしていて、それが小細胞肺癌の新たな治療標的となりうるか検証していくことを主目的とする。
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研究実績の概要 |
申請者がCancer Cell Line Encyclopediaの約1000種類の細胞株のRNAseqのデータをもとに小細胞肺癌の細胞株で見出したKEAP1遺伝子のvariant isoformの機能解析を通して、このようなバリアントが腫瘍形成でどのような役割をはたしているかを検証する目的で進めている。本年度は前年に引き続き実験計画の中の(3)変異型KEAP1の細胞増殖・抗癌剤治療に与える影響の解析に加えて(2)変異型KEAP1のE3ユビキチンリガーゼとしての機能解析を中心に研究を進めた。 変異型KEAP1をKEAP1ミスセンス変異によりKEAP1の機能が欠失しNRF2が恒常的に活性化している肺腺癌細胞株A549に発現させたところ、野生型KEAP1を発現させるとNRF2と標的遺伝子の発現は低下するのに対して、これらの発現の低下はみられなかった。これは変異型KEAP1はKEAP1のユビキチンリガーゼとしての機能を欠失していることが考えられた。同様の現象は他のKEAP1ミスセンス変異を有する肺腺癌の細胞株でも確認された。さらにこの細胞株を用いて変異型KEAP1の細胞増殖・抗癌剤治療に与える影響の解析したところ、いずれも変異型KEAP1の発現株は野生型KEAP1の発現株と比較して有意な細胞増殖抑制効果は観察できなかった。現在小細胞癌細胞株で同様の検証を行っているが、変異型KEAP1はKEAP1のユビキチンリガーゼとしての機能は欠失しているものの、細胞増殖に対して影響を与える結果は得られていない。 さらに、小細胞肺癌の標準治療で使用される白金製剤シスプラチンを用いて薬剤感受性試験を行ったところ、変異KEAP1発現株は野生型KEAP1発現株に比べて薬剤感受性が有意に低下していた。これらは変異型KEAP1が細胞増殖を促進し抗癌剤耐性を獲得していることを示唆する結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞実験に関しては複数の肺腺癌細胞株を用いて概ね仮説に近い結果が得られており計画通りに進んでいる。臨床検体での解析をPanCancerの大規模なデータセットを用いて進めており、KEAP1バリアントの検出に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
小細胞肺癌細胞株での実験を行うなかで、前年の肺腺癌のRNAseq解析に加えてPanCancerのデータセットを用いた解析でも、小細胞癌とは異なるバリアントを検出している。上記の結果と合わせると複数の癌腫で当初の仮説を示せる可能性が高く、今後小細胞肺癌の解析とあわせて進めていく。
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