研究課題/領域番号 |
20K08534
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田邉 信宏 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (40292700)
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研究分担者 |
國澤 純 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, センター長 (80376615)
坂尾 誠一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (80431740)
重城 喬行 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (90736422)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / 肺高血圧症 / 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / 炎症 / 慢性血栓性肺高血圧症 / サイトカイン / 腸内細菌叢異常 / 腸管透過性亢進 / エンドトキシン / 酪酸産生菌 / 炎症性サイトカイン / 慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症 / Microbiota / Dysbiosis / プロバイオティクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は腸内細菌叢の変容が難病である肺高血圧症の疾患の成り立ちや重症化に与える影響、原因となる菌の同定を目的としています。私達の研究グループでは肺高血圧モデル動物に対して抗菌薬の大量投与により腸内細菌叢を破壊することで肺高血圧症の進展を抑制することができるというデータを得ています。 本研究では抗菌薬の組み合わせを変えて菌の同定を試み、変化した病的な細菌叢を含んだ便のラットへの移植を行うことで病的因子を同定します。動物実験のみならず、肺高血圧症患者さんからの便や唾液に含まれる細菌叢の解析を行い、患者さんでの病的因子の同定、さらに将来の治療につながる菌の同定を行います。
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研究成果の概要 |
本研究では肺高血圧症の病態と腸内細菌叢異常の間の関連を明らかにした。第一に、肺高血圧症モデル動物における腸内細菌叢解析を通し、肺高血圧症における腸内細菌叢異常の存在を示した。さらに、抗菌薬を用いた腸内細菌叢削除が病態発生を抑制しうることから、腸内細菌叢異常と肺高血圧症の病態発生の間に因果関係が存在することを示した。慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)患者を対象とした検討では、同疾患における腸内細菌叢異常の存在とともに、腸内細菌由来のエンドトキシンと炎症性サイトカインの公知の間の関連を示し、腸内細菌叢異常がCTEPHの病態発生に必要な炎症性機序に関与することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は腸内細菌叢異常が肺高血圧症を持つヒト、ラットと種を越えて共通して存在することを明らかにし、腸内細菌叢異常と肺高血圧症の間に普遍的な関係が存在しうることを示したことにある。さらに、本研究では肺高血圧症で腸内細菌叢異常が単に併存しているのではなく、両者の間に因果関係が存在することを明らかにした。このことは、腸内細菌叢異常の是正が、肺高血圧症の病態進展抑制につながることを意味している。 肺高血圧症は未だ根治が困難とされているが、本プロジェクトを通し、腸内細菌叢異常をターゲットにした全く新しい肺高血圧症の予防・治療法の開発の可能性を提供することができた。
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