研究課題/領域番号 |
20K08539
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
乾 直輝 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80402254)
|
研究分担者 |
須田 隆文 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30291397)
小幡 由佳子 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任講師 (90432210)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 線維化 / ブレオマイシン / 肺線維化 |
研究開始時の研究の概要 |
肺線維症は、肺の線維化を主体とする難治性、進行性の致死的疾患である。原因不明の特発性肺線維症をはじめ、膠原病、薬剤、吸入抗原など様々な原因によって肺の線維化が生じ、その対応は喫緊の課題となっている。本研究では、低酸素環境が線維化におよぼす影響を、肺血管内皮細胞に焦点を当てて検討し,低酸素環境による線維化促進メカニズムを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
難治性、進行性の致死的疾患である肺線維症では肺間質を主体とした線維化を生じ、結果としてガス交換が障害され低酸素血症が生じる。原因不明の特発性肺線維症(IPF)をはじめ、膠原病、薬剤、吸入異物や抗原など様々な原因によって肺の線維化が生じ、その対応は喫緊の課題となっている。最近、IPFや強皮症肺、さらにそれ以外の線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に抗線維化薬の有用性が示されつつあるが、いまだに予後不良の疾患であり、新たな視点からの病態解明や新規の治療標的の発見が望まれている。肺線維化の詳細なメカニズムは未だ解明されておらず、現在のところ,何らかの刺激によって上皮障害が惹起され,傷害された組織に、過剰な修復反応が生じ、線維芽細胞が活性化して異常な組織修復として、さらに線維化が進展すると考えられている。病因論的には、主として肺胞上皮細胞や線維芽細胞が関与すると考えられており、肺線維症についての研究の多くは、線維芽細胞や上皮細胞を対象に行われている。線維化肺の発生母地となる間質にはきわめて豊富な毛細血管が分布し、それを裏打ちする血管内皮細胞が存在していることから、申請者らは肺血管内皮細胞に着目し、先行研究において肺血管内皮細胞が線維化メディエーターの産生や内皮間葉転換などを介して肺の線維化において重要な役割を果たしていることを示した。本研究では、ブレオマイシン肺線維症マウスから単離した肺血管内皮細胞を用いて、低酸素環境が、肺血管内皮細胞を介して肺の線維化を進展に関与するかを検証する。現在までの検討で、線維化肺から単離した肺血管内皮細胞を低酸素に暴露することにより、低酸素誘導因子(HIF)の発現が増強することが判明した。血管内皮細胞が酸素刺激に反応することを示す結果であり、上記の仮説を検証すべく研究を継続中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺線維症モデルマウスから肺内皮細胞の単離回収は良好でフローサイトメトリーを用いた純度の確認も終了した。続いて内皮細胞の低酸素曝露による機能変化を検証すべく、cell lineおよび単離した血管内皮細胞を用いて低酸素暴露を行い、HIFの誘導の確認を行い、HIF蛋白の誘導が確認された。引き続き、低酸素環境における血管内皮機能の検討、低酸素環境下の内皮細胞による線維化作用の検討、低酸素環境とTGF-β刺激による内皮間葉転換の検討を継続している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画書に従い、肺線維症マウスから抽出した内皮細胞の低酸素曝露による機能変化および低酸素環境による内皮間葉転換の検証を継続し、血管内皮細胞の肺線維化への関与を検証する予定である。
|