研究課題/領域番号 |
20K08560
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松野 洋輔 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30633177)
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研究分担者 |
石井 幸雄 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80272194)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 肺線維症 / ミトコンドリア / 線維芽細胞 / 代謝リプログラミング / ミトマウス / 乳酸 / 細胞分化 |
研究開始時の研究の概要 |
特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis: IPF)は、進行性の肺の線維化をきたす予後不良の疾患である。IPFの進展には、肺の上皮、マクロファージ、線維芽細胞の分化異常が重要な役割を担う。活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)や乳酸などの細胞内代謝産物は、細胞の分化を調節する役割を担う。ミトコンドリアは、代謝様式の制御を通じて、細胞の分化と肺線維症の病態形成に関わることが示唆されるが、その役割は明らかでない。本研究では、ミトコンドリアを中心とした代謝ネットワークの機能解析を通して、IPFの新たな病態メカニズムの解明を目指す。
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研究成果の概要 |
ミトコンドリアは細胞内の代謝を司り、その機能の低下は代謝経路を改変させて細胞の機能に重大な影響を及ぼす。ミトコンドリアゲノムの変異によりミトコンドリア機能が低下したミトマウスを用い、肺線維化におけるミトコンドリアの役割の解明を目的として本研究を行った。ブレオマイシンで誘導される肺の線維化はミトマウスでは増強していた。ミトマウス由来の肺線維芽細胞では、TGF-β1による筋線維芽細胞への分化が増強しており、コラーゲン生合成に必要な代謝経路の活性化を伴っていた。ミトコンドリアは、線維芽細胞において代謝様式の改変と病的な細胞分化を誘導し、肺の線維化進展に寄与することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、肺線維化の病態においては、ミトコンドリアの機能障害を含め、様々な老化と関連した細胞形質の存在が知られていたが、ミトコンドリアが肺線維化で担う独自の役割は不明であった。本研究はミトマウスを用いることにより、ミトコンドリア機能障害が、単独で肺の線維化進展に寄与すること、線維化と関連した線維芽細胞の分化を誘導すること、を初めて明らかにした。本研究を礎として、ミトコンドリアを標的とした肺線維症の新たな診断・治療方法の開発が進展することが期待される。
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