研究課題/領域番号 |
20K08561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
瀧口 裕一 千葉大学, 医学部附属病院, 教授 (30272321)
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研究分担者 |
太和田 暁之 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (10596159)
椎葉 正史 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (20301096)
新井 誠人 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30396684)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 扁平上皮がん / 肺扁平上皮がん / 口腔扁平上皮がん / 上皮間葉移行 / 唾液腺タイプ腫瘍 / EPSTI1 / 口腔がん / 肺がん / 分子標的治療 / 頭頸部扁平上皮がん |
研究開始時の研究の概要 |
肺扁平上皮がん(肺SCC)に対する分子標的治療は未確立であるが、既に他臓器がんで示されているようにnon-driver標的に対するアプローチも重要であり開発の余地は十分残されている。遺伝子発現を修飾し、さらに上皮-間葉移行などの初期耐性機序を解除した条件で増殖能、薬剤感受性などのフェノタイプ分析を行うことにより、効率良く治療標的を探索する方法を開発する。また、標的遺伝子発現を修飾させた系においてPCRアレイを行うことにより、肺SCC、口腔SCCに共通・特異的なシグナル伝達ネットワークを解明する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、3つのヒト肺扁平上皮がん(SCC)株(LK-2, EBC-1, H226)、4つの口腔SCC株(HSC2, HSC3, HSC3-M3, HSC4)を用い、それぞれの発現パターンにより各候補遺伝子の発現を修飾し、増殖能、EMT形質、細胞周期、関連遺伝子発現などを調べ、腫瘍細胞における役割を調べた。 興味深いものとして、EPSTI1遺伝子の機能解析を行った結果、同遺伝子は肺SCCと口腔SCCで全く逆の作用を来していることが明らかとなった。RNAアレイ解析により肺・口腔SCCにおいて共通して発現亢進、あるいは発現低下している遺伝子を同定し、gene ontology解析、さらに関連上流・下流シグナルの候補遺伝子について機能解析を行い、同遺伝子発現との関係を探索中である。 一方、上記のような肺がんと口腔がんとの臓器横断研究を行う過程で、扁平上皮がんに並び、唾液腺タイプ悪性腫瘍も、肺・気管支原発など唾液腺以外にまれに認められる腫瘍として注目するに到った。唾液腺タイプ悪性腫瘍の組織型としては、腺様嚢胞がん(adenoid cystic carcinoma)、粘表皮がん(mucoepidermoid carcinoma)、上皮筋上皮がん(epithelial-myoepithelial carcinoma)などが含まれるが、当院で過去10年間に診療した唾液腺タイプ腫瘍125例のうち、約半数は大唾液腺原発であったが、残りの半分は大唾液腺以外の頭頸部、気管・気管支・肺などが原発であった。組織型分布も原発臓器により特徴が異なり、粘表皮がんや上皮筋上皮がんは75%以上が大唾液腺原発であるのに対し、腺様嚢胞がんは大唾液腺以外の頭頸部を原発とすることが多いことが分かった。本研究については新たに倫理委員会での承認を得たため、臨床疫学的検討を行い、その結果によってはEPSTI1遺伝子をはじめとした分子生物学的背景について研究する価値があるかどうか考察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にほぼ匹敵する研究を行い、その過程で新たな臨床疑問に遭遇することができたことから、新たな方向への研究も期待している。
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今後の研究の推進方策 |
肺・口腔SCCにおけるEPSTI1遺伝子の機能解析をさらに推し進め、気管支・肺と口腔原発の唾液腺タイプ腫瘍における原発部位の違いによる臨床疫学、分子生物学的検討へと結びつける予定である。
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