研究課題/領域番号 |
20K08576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
大倉 真喜子 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (80834259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リンパ管内皮細胞 / エストロゲン / VEGFR-3 / リンパ脈管筋腫症 / リンパ管新生 / VEGFR-3 / エストロゲンレセプター / VEGF-R3 |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ脈管筋腫症(LAM)は、妊娠可能な女性に発症し、重症例では約10年の経過で進行性の呼吸不全をきたす難病である。その症状の進行が閉経後は緩徐になること、結節性硬化症の男性のLAMの肺病変が、比較的軽症であり、女性ホルモン(エストロゲン)が病態に関与していると考えられてきた。LAM患者ではリンパ管内皮増殖因子である血清VEGF-D値が高値を示すが、申請者はLAM患者の出産後の血清VEGFD値は出産前より上昇し、血清soluble VEGF-R3値は低下することを発見した。そこで本研究は、エストロゲンに着目してLAMのリンパ管新生の機序を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
リンパ脈管筋腫症は多発性肺嚢胞を呈する希少疾患であり、ほぼ女性に発症することから、女性ホルモンの関与がこれまでも指摘されてきた。リンパ脈管筋腫症は進行すると呼吸不全と成り、肺移植が必要となる難病である。申請者の研究グループでは、移植時の患者の肺組織からFACSで分離したリンパ管内皮細胞を培養することが可能であり、そのリンパ管内皮細胞にエストロゲンを投与し、女性ホルモンの疾患の病態への関わりを解明することを目的としている。エストロゲンの投与により細胞の増殖およびリンパ管内皮細胞のマーカーである、VEGFR-3の発現の変化を確認するため、健常コントロールを用いてプロトコールを確立することを目指した。購入した微小血管内皮細胞からのリンパ管内皮細胞をFACSで分離して培養を試みたが、マニュアルどおりで行ったが、培養維持が非常に難しく、増殖が安定した状態での細胞が得られなかった。細胞培養の方法を見直す必要があり、細胞培養の最適化に時間を費やすことになった。その後、培養維持が可能となったが、健常コントロールでは、エストロゲンの添加でVEGFR-3の発現の増加は、FACSでも、qPCRでも認められなかった。他のリンパ管内皮細胞のマーカーでも同様であった。増殖に関してもエストロゲンの投与で、細胞増殖は見られなかったが、細胞の生存維持が確認された。 エストロゲンが細胞の代謝に対して何らかの影響を与えており、細胞生存維持が見られた可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
健常コントロールとして購入した微小血管内皮細胞からFACSでリンパ管内皮細胞を分離して培養を行うが、細胞の増殖が安定しないため、培養維持することが困難となり、アッセイを行う前に細胞が不安定になるため、培養のプロトコールの修正が必要となった。培養方法の修正として細胞が増殖するための足場の必要性と、フェノールレッドフリー培地への交換も順化をすることにし、コラーゲンコートしたプレートを用いて細胞培養を行った。その成果があり、リンパ管内皮細胞の増殖の安定性が得られるようになった。 この過程に非常に時間がかかってしまったため、研究の進行に遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
リンパ脈管筋腫症はLAM細胞とリンパ管内皮細胞が共存する環境にあるため、病態を再現させるためにはリンパ管内皮細胞単独ではなく、共存を再現することを検討したい。 リンパ管内皮細胞がエストロゲンの投与で生存維持が認められ、エストロゲンが細胞の代謝に関与している可能性があり、細胞の増殖や機能の変化だけではなく、細胞の代謝にも着目していくことが必要と考えている。
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