研究課題/領域番号 |
20K08582
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
藤田 浩樹 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (30333933)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 糖尿病性腎症 / GLP-1受容体シグナル / 血管平滑筋 / 腎線維化 / Akita糖尿病マウスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
現在、我が国での糖尿病性腎症を原疾患とした新規透析導入患者数は年間約16,000人と報告されており、糖尿病性腎症の発症や進行を抑止するための新規治療法の確立が必要である。近年、高齢化や動脈硬化を背景として顕性蛋白尿を呈することなく腎機能が低下する非典型的な経過をたどる糖尿病患者が増加しており、腎血管・尿細管間質病変を標的とした新規治療法の確立が急がれる。我々は基礎研究の結果から腎臓内血管平滑筋において消化管ホルモンGLP-1の受容体の発現を明らかにしてきた。血管平滑筋特異的GLP-1受容体欠損マウスを用いて、糖尿病腎血管平滑筋におけるGLP-1受容体シグナルの役割を解明し、治療に役立てたい。
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研究成果の概要 |
血管平滑筋特異的GLP-1受容体欠損C57BL/6-Akita糖尿病マウスを作製し、腎病変について解析した。血管平滑筋GLP-1受容体シグナルの低下により、腎臓内血管壁における抗酸化作用の減弱から、腎臓内広範囲にわたる酸化ストレスの増加が惹起され、糖尿病性糸球体硬化病変、腎間質線維化ならびに近位尿細管上皮細胞内ミトコンドリアの構造変化が進行すること、腎臓内動脈壁における肥厚性変化をきたすこと、アルブミン尿の増加や血圧上昇に関わる腎糸球体内皮および腎臓内血管内皮におけるNOレベルが減少することが明らかとなり、血管平滑筋GLP-1受容体シグナルの腎保護効果が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血管平滑筋GLP-1受容体シグナルは慢性の高血糖状態下で惹起される酸化ストレスを減少させることで、糖尿病性糸球体硬化病変、腎間質線維化、腎臓内血管壁硬化性変化の進行抑制に寄与することが本研究の成果から明らかとなった。したがって、血管平滑筋GLP-1受容体シグナルを高める介入は糖尿病性腎症のみならず、他の慢性腎臓病の血管病変に対する新規治療戦略として期待されるところである。しかしながら、血管平滑筋GLP-1受容体シグナルの腎保護効果の基盤となる詳細な分子メカニズムについては未だ解明の余地があり、今後のさらなる研究の遂行が必要である。
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