研究課題
基盤研究(C)
尿細管間質の慢性低酸素状態は、慢性腎臓病(CKD)の病態進展因子である。従来、急性腎障害(AKI)は一過性の病態であると考えられてきたが、近年、長期経過において高頻度にCKDを発症することが明らかになった。CKDへの移行には内皮細胞障害に伴う尿細管間質の微小循環不全が関与するため、低酸素誘導因子(HIF)の活性化が病態の改善をもたらす可能性があある。本研究では当仮設の検証を行う。
本研究ではAKI後のCKDへの移行病態における近位尿細管の低酸素誘導因子HIF1の役割を検討した。タモキシフェン誘導近位尿細管プロリン水酸化酵素ノックアウトマウスに虚血再灌流障害 (IRI) を惹起し、回復期にタモキシフェンを投与して近位尿細管のHIF1を活性化したところ、同群 (IRI/Tam+) では対照群 (IRI/Tam-) と比較して血清クレアチニン値やアルブミン尿が低下し、腎線維化が軽減していた。本効果は尿細管細胞の増殖やリン酸化ヒストンH3陽性細胞数の増加を伴っていた。以上により、近位尿細管のHIF1の活性化によりAKI後の尿細管修復・再生過程が促進される機序が明らかになった。
AKIは古典的には短時間で急激に腎機能が低下する一過性の病態と考えられてきたが、近年の疫学研究によって、AKIはCKDへの移行リスクが高く、末期腎不全リスクも3.1倍高まることが明らかになった。しかしながら本病態に対して確立された治療法は存在しない。本研究の成果は上記のAKI-CKD移行に対して、近位尿細管における低酸素誘導因子HIF1の活性化が障害軽減をもたらす可能性を示唆しており、将来の新規治療法の開発や実効的な医療介入につながることが期待される。
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