研究課題/領域番号 |
20K08646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
赤坂 英二郎 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30436034)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 栄養障害型表皮水疱症 / 線維化 / TGF-beta / VII型コラーゲン / マトリックスメタロプロテイナーゼ / インテグリン / トロンボスポンディン-1 / 活性酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
劣性栄養障害型表皮水疱症 (RDEB)は皮膚の水疱・びらんを特徴とし最終的に重篤な線維化を呈する疾患である.一般に臓器の線維化は線維芽細胞のTGF-βシグナル活性化により生ずるが,RDEBの皮膚線維芽細胞におけるTGF-βシグナル活性化機構は明らかになっていない.本研究では,RDEBの重篤な線維化に対する新規治療法開発の基礎とするため,RDEB患者の皮膚線維芽細胞およびRDEBモデルマウス皮膚をもちいて,RDEB皮膚におけるTGF-βシグナル活性化機構を明らかにし,そのシグナルを阻害する物質を用いてRDEBの重篤な線維化を抑制できるかどうか検討することとした.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は, RDEBにおける重篤な線維化の発症メカニズムを明らかにすることである.そのため,一般的なTGF-β活性化因子の各種阻害剤およびsiRNAを用いて,Latent TGF-β活性化メカニズムの解析をおこなった.結果を下記に示す. 1) 培養RDEBFを各種阻害剤で処置したのちにLatent TGF-βを添加し,TGF-βシグナルおよび線維化関連タンパクの発現を評価した.各種阻害剤はすべて培養RDEBFのLatent TGF-β活性化を抑制したが,とくにROS阻害剤は抑制効果が高かった.またsiRNAを用いた検討では,インテグリンβ5およびMMP-2を阻害した際にLatent TGF-β活性化が強く抑制された.以上より,RDEBFにおいては主としてインテグリンβ5,MMP-2,ROSがLatent TGF-β活性化に関与していると考えられた. 2) RDEB角化細胞(RDEBK)の皮膚線維化に及ぼす影響を調べるため, RDEBFとRDEBKを三次元培養し3D-RDEB培養皮膚モデルを作成した.各種阻害剤存在下でTGF-βシグナルおよび線維化を評価した.RDEBKとRDEBFを共培養した際には,RDEBKと正常線維芽細胞,正常角化細胞とRDEBFという組み合わせと比較して,有意にRDEBKおよびRDEBFにおけるTGF-β活性や線維化関連タンパクの発現が上昇していた.RDEBにおける線維化にはRDEBKとRDEBFの相互作用が重要な役割を果たしており,いずれかをcollectionすることで,重篤な線維化を抑制できる可能性が示唆された. 3) VII型コラーゲンコーティング後にRDEBFを培養したところ,Latent TGF-β活性化が抑制された.このころからVII柄コラーゲン自体が活性化因子の発現や機能を抑制することで,TGF-βシグナルを制御していると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した実験はおおむね遂行することができており,本研究の目的である「RDEBにおける重篤な線維化の発症メカニズムを明らかにすること」という問いに対して,インテグリンβ5,MMP-2,ROSを中心とした活性化因子がLatent TGF-β活性化に重要な役割を果たしていること,RDEBにおける重篤な線維化にはRDEBKとRDEBFの相互作用が関与していること,VII型コラーゲン自体がTGF-βシグナルを制御していること,が明らかになった. 動物モデルを使用した実験や癌細胞を用いた実験は行えていないが,目的達成に必要な成果は現段階で概ね得られていると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は下記の研究を行いたい. 1) これまでの研究で高いTGF-β活性抑制効果がみられたインテグリンβ5,MMP-2,ROS阻害剤をRDEBモデルマウスに投与し,線維化抑制効果を検討する.RDEBモデルマウスはC7-hypomorphic mice on C57BL/6 129/svを用いる.マウス新生仔の腹腔内に上記の阻害剤を投与し,日齢7, 14, 28日に背部皮膚および前肢を採取し,手指長を計測して手指の棍棒状癒着の程度について検討する.またHE染色, Picrosirius-Red染色, WB, IF, RT-qPCRも行う. 2) VII型コラーゲンによるTGF-βシグナル制御機構を明らかにするため,Recombinant FLAG-type VII collagenを過剰発現させたRDEBFやshRNAでC7をKnock-downしたNHFを用いて,Latent TGF-β活性化因子とVII型コラーゲンの相互作用を,Proximity ligation assay,免疫沈降, Binding Assayなどで検討する. 3) RDEBFは癌線維芽細胞と非常に性質が類似しており,癌細胞が浸潤しやすい微小環境にある.各種阻害剤の癌浸潤能に対する採用を検討するため,RDEBcSCC細胞とRDEBFを用いて3D培養皮膚モデルを作成し,各種阻害剤存在下で3週間培養する.その後,HE染色にて癌細胞の真皮への浸潤を評価する.
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