研究課題/領域番号 |
20K08760
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
武山 雅博 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30572010)
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研究分担者 |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50326328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 第VIII因子 / 活性化プロテインC / 活性型プロテインC / プロテインS / 血友病 |
研究開始時の研究の概要 |
凝固第VIII因子(FVIII)は凝固反応において必須の因子であり、その欠乏により血友病Aを起こす。近年、半減期延長型製剤が広く使われようになってきたが、半減期延長効果は十分ではなく、新規FVIII製剤の開発が求められている。一方、FVIIIは活性型プロテインC (APC)及びプロテインS (PS) により不活化されるが、その不活化機序は完全には解明されていない。本研究ではFVIII上のAPC/PSの結合部位を同定し不活化機序の解明を行い、FVIII上のAPC/PS結合部位のアミノ酸を置換することで、APC/PSとの結合能が弱い変異FVIIIを作製し、新規製剤としての開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、FVIIIを中心とした凝固・抗凝固機能のさらなる解明と、抗凝固機能を受けにくい変異FVIIIを作成することにより、安定型・長時間作用型 FVIII製剤へ応用することである。我々が目指す新規FVIII製剤は、活性化プロテインC(APC)/プロテインS(PS)の結合部位を変異させた全く新たな機序による製剤 である。新規FVIII製剤はAPC/PSと の結合能が弱く、APC/PSにより不活化されにくいため、従来のFVIII製剤より安定性が高く、長時間作用すると考えられる。 これまでに、FVIII上のAPC結合部位 の詳細な同定を行い、APCがFVIII軽鎖(A3ドメイン)アミノ酸残基2007-2016に結合することを示した。これらの研究をもとに、FVIII重鎖(A2ドメイ ン)上の新規APC結合部位の同定について研究を行った。SPR-assayにより、DEGR-APCと400-429ペプチドが結合し、同領域がAPCの結合部位であることが示唆された。FVIIIはAPCにより開裂を受け、不活化されるが、その不活化が420-429ペプ チドの存在により阻害されるかを検討した。420-429ペプチド存在下ではFVIIIのAPCによる不活化は、420-429ペプチド非存在下と比べて低下しており、420-429ペプチドがAPCの 作用を阻害することを示した。さらに、APCと420-429ペプチドが、EDC クロスリンカーにより結合するかをWestern blottingを用いて検討を行い、APCと420-429が直接結合することが明らかになった。さらに、western blottingによ りAPCと420-429ペプチドをEDCクロスリンカーさせたbandを、アミノ酸シークエンスすることを試みたが、得られたバンドが非常に薄く、アミノ酸シーケンスを断念した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
APCと420-429ペプチドが、EDCクロスリンカーにより結合するかをWestern blottingを用いて検討を行い、APCと420-429が直接結合することがわかったが、アミノ酸シーケンスを行う事ができず、FVIIIのアミノ酸残基420-429のどのアミノ酸がAPCと結合するのかを同定することができなかった。これまでのFVIIIとプロテインSとの結合部位の同定やFVIIIとFXとの結合部位の同定の研究結果から、FVIII と他の凝固因子・抗凝固因子はFVIII上の塩基性あるいは酸性アミノ酸と結合することが多いとわかっている。現在、アミノ酸残基420-429のうち、塩基性アミノ酸であるR421, K422, K424, K425, R427をアラニンに変異させた変異FVIIIをベビーハムスター腎臓細胞を用いて発現させ、蛋白の精製に成功したが、一部の変異FVIIIは回収量が非常に少なく、精製に難渋した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は精製した変異FVIII(R421A, K422A, K424A, K425A, R427A)を用いて以下の検討を予定している。 ①APCによる変異FVIIIの開裂をwestern blottingで検討する ②変異FVIIIのAPCによる不活化をFXa生成試験で検討する ③変異FVIIIとAPCの結合能をSPR-based assayで検討する これらの検討により、FVIIIのAPC結合部位を詳細に明らかにする予定である。
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