研究課題/領域番号 |
20K08789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
杉江 真以子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 研究員 (90724336)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | IL-33 / 気管支喘息 / ウイルス感染 / 血管内皮細胞 / 上皮由来サイトカイン / インフルエンザウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルス感染による上皮傷害は、喘息の発症や増悪に決定的なサイトカインIL-33を放出させる。上皮細胞内に恒常的に発現するIL-33は、細胞傷害により放出され機能すると考えられているが、その産生機構は不明な点が多い。我々の予備検討では、ウイルスdsRNA合成アナログ(polyI:C)で活性化された肺微小血管内皮細胞が、細胞傷害を介さない新規機序でIL-33 mRNA発現を誘導した。本研究ではpolyI:Cだけでなく、インフルエンザウイルスを用いて、この新規IL-33発現誘導機構を解明することで、ウイルス感染を契機とする喘息発症・重症化の予防・治療戦略の基盤となる情報提供を目的としている。
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研究成果の概要 |
肺微小血管内皮細胞からの低容量Poly:IC曝露によるIL-33の産生誘導・放出は、単純な細胞の死や破壊によるものではなく、IL-33 mRNA合成を伴う能動的な産生機序であることを明らかにした。またウイルス感染時のIL-33誘導メカニズムとして、インフルエンザウイルス(H1N1)は肺微小血管内皮細胞では増殖しないが、気道上皮細胞にH1N1が感染し、増殖・複製する際にdsRNAを生成し、上皮障害によって放出されたdsRNAが肺微小血管内皮細胞に直接作用することで、TLR3及びIFN関連遺伝子(IFIT1)の有意な上昇を引き起こし、その後IL-33誘導を引き起こすことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ウイルス感染による喘息発症や増悪に決定的なサイトカインであるL-33は上皮細胞内で恒常的に発現しており、細胞傷害(ネクローシス)によって放出され機能すると考えられてきた。しかしながら本研究では、ウイルス感染後の喘息増悪に関与するIL-33は気道上皮細胞ではなく肺微小血管内皮細胞が主要な産生源であること、さらに肺微小血管内皮細胞からのIL-33誘導はネクロ―シスを介さない能動的な機序で産生されることを明らかにした。本研究により明らかとなった肺微小血管内皮細胞からの新規IL-33誘導を標的とすることで、ウイルス感染を契機とする喘息発症・重症化の予防・治療戦略の提供が可能となると考えられる。
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