研究課題
基盤研究(C)
1BS-18ホクシンパンによる経口減感作の成立を基礎的に裏付ける根拠を得ることを目的として、成人小麦アレルギー患者の1BS-18ホクシンパンによる減感作療法の前後に、患者末梢血の免疫担当細胞の動態を観察する。検討項目は、血清ω-5グリアジン特異的IgEおよびIgG4、小麦抗原による末梢血好塩基球活性化、1BS-18ホクシン小麦添加による末梢血単核球からのIL-4、IL-10、TGF-ベータの産生量、末梢血中の抑制性T細胞(Treg)の割合とする。患者における減感作療法の成否をこれらの免疫担当細胞の動態と比較検討することにより、減感作療法の成立機序を明らかにすることができると考えている。
成人の小麦アレルギーの根治療法を開発するための基礎研究として、主要小麦アレルゲンω-5グリアジンを欠失した小麦系統1BS-18パンを3カ月継続摂取し、摂取前後で小麦アレルゲン特異IgE及び好塩基球活性化率を調査した。その結果、両者ともに有意な低下は見られなかった。しかし、ラット小麦アレルギー モデルにおいて予め1BS-18ホクシン小麦のグルテンを継続摂取させておくと通常小麦のグルテンやω5-gliadin投与で感作が成立しないことを明らかにした。これにより1BS-18ホクシンに含まれるω5-gliadin T細胞エピトープは耐性獲得に十分であることを示した。
小麦は成人の食物アレルギーでは頻度の高い原因食品で、多くが重篤な小麦依存性運動誘発アナフィラキシーとなる。小麦アレルギー患者は小麦摂取制限や食後の運動制限を強いられることになり、QOLが著しく低下している。申請者らは、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの主要アレルゲンであるω-5グリアジンを欠失したChinese Spring 1BS-18小麦系統を見出し、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者が1BS-18系統の小麦を一定量継続摂取できることを確認した。さらにラットの小麦アレルギーモデルで、1BS-18小麦を継続摂取することで耐性を獲得する可能性を示した。
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