研究課題
基盤研究(C)
本研究では、(1) Tfh細胞の可塑性に関わるゲノム異常とエピゲノム修飾との関連、(2) Tfh細胞に特異的なスーパーエンハンサー・エピゲノム修飾とその誘導因子の同定、(3) Tfh細胞のエピゲノム制御による濾胞性制御性T細胞への形質転換の検証によって、Tfh細胞の人為的なエピゲノム制御によるT細胞の機能修復の可能性を探索する。
SLE患者では、IL-2の減少によりTfh細胞の増加とTfr細胞の減少が生じる。SLE患者のIL-2減少は、疾患感受性遺伝子IL21-AS1によるIL-2の遺伝子制御と関連した。IL-2はSTAT3/STAT5の活性化を介したエピゲノム制御によりメモリーTfh細胞から機能的Tfr細胞への変換を誘導した。一方、SLEではTph細胞が増加し、その分化はTfh細胞と異なり、組織マクロファージから産生されるTGF-β3で誘導され、B細胞分化と抗体産生を促進した。以上、SLEの病的T細胞の分化にかかわるIL-2やTGF-β3はエピゲノム修復を介した新たな治療標的となることが示唆された
本研究の結果は、SLEの病態においてT細胞の分化や機能の異常がゲノム異常により規定されるSLE特異的なエピゲノム記憶に基づく可能性を示唆する。これらを標的とした創薬はSLEの治療抵抗性難治性病態への新たな治療戦略に有望である。本研究は、免疫難病であるSLEへの疾患特異的治療の開発に重要な示唆を与え、医療および社会の発展に資するものである。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件)
Rheumatology (Oxford).
巻: keac646. 号: 7 ページ: 2464-2474
10.1093/rheumatology/keac646
Inflamm Regen.
巻: 41 号: 1 ページ: 14-14
10.1186/s41232-021-00164-9
Expert Rev Clin Immunol.
巻: 17 号: 10 ページ: 1143-1150
10.1080/1744666x.2021.1976146
Arthritis Res Ther.
巻: 23 号: 1 ページ: 302-312
10.1186/s13075-021-02682-w
Arthritis Rheumatol.
巻: 73 号: 1 ページ: 132-142
10.1002/art.41457