研究課題/領域番号 |
20K08834
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
梅山 隆 国立感染症研究所, 真菌部, 室長 (20360696)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 真菌症 / 糸状菌 / ゲノム編集 / ゲノム解析 / 薬剤耐性 / 多剤耐性 / 呼吸器真菌症 / 糸状菌症 |
研究開始時の研究の概要 |
深在性真菌症の中でも侵襲性肺アスペルギルス症とムーコル症を含む糸状菌感染症は、最も有効とされている治療薬を用いても致命率が50%を超える。さらに、薬剤耐性による難治化が臨床上大きな問題となっているだけでなく、環境中にも耐性株が拡散して世界規模の課題になっているが、薬剤耐性機構の詳細は未だ明らかになっていない。 本研究は、①ゲノム編集技術を用いた多剤耐性病原糸状菌のアゾール耐性機構の検証、②ゲノム編集技術を用いた変異株ライブラリ作製とスクリーニングによるアムホテリシンB耐性に関係する遺伝子探索、により多剤耐性糸状菌の薬剤耐性メカニズムを解明し、早期耐性検出法と新しい治療法の開発に貢献する。
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研究成果の概要 |
薬剤耐性糸状菌の多様な菌種のゲノム情報を取得し、耐性機構解明の基盤を構築した。CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて、Aspergillus lentulusのCyp51A遺伝子がアゾール耐性に直接関与することを証明した。多剤耐性糸状菌Lomentospora prolificansへのCRISPR/Cas9導入の基盤技術を確立した。A. fumigatusのCRISPRプラスミドライブラリを作製し、高効率な形質転換法を確立してCRISPR screeningの検証を開始した。これらの成果は、深在性真菌症の新たな治療法や早期薬剤耐性検出法の開発につながる重要な知見をもたらすものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は深在性真菌症、特に薬剤耐性糸状菌感染症の分子メカニズム解明に貢献した。CRISPR/Cas9技術を用いた遺伝子機能解析により、アゾール耐性機構の一端を明らかにし、早期耐性検出法や新規治療法開発の基盤を構築した。また、多様な真菌種に応用可能なゲノム編集技術を確立し、真菌学研究の発展に寄与した。これらの成果は、致死率の高い深在性真菌症の診断・治療改善につながり、患者の予後向上に貢献する可能性がある。環境中の耐性株問題にも示唆を与え、ワンヘルスアプローチによる対策に重要な知見をもたらした。本研究で確立された技術は、他の病原真菌研究にも応用可能で、幅広い真菌感染症対策への波及効果が期待される。
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