研究課題
基盤研究(C)
中東呼吸器症候群(MERS)は、中東地域で継続的に発生している新興の重症呼吸器感染症である。致死率が高く、くしゃみなどの飛沫を介して比較的容易に伝播するため、ハイリスク者への対応が望まれているが、現在までに有効な治療法はなく、またワクチンも開発されていない。本研究は、MERSコロナウイルスのアクセサリー蛋白質が備える宿主インターフェロンシステムを妨害する能力とその分子機構を明らかにして、その能力を喪失させた新規の弱毒ワクチンをデザインすることを目的とする。本研究の成果は、MERSコロナウイルスの病原性発現の理解につながり、新しいワクチン開発の基盤になると期待される。
Toll様受容体7/9依存性シグナル伝達経路(TLR7/9経路)は、形質細胞様樹状細胞による大量のインターフェロン(IFN)の産生に関与している。本研究では、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)のアクセサリータンパク質ORF4bが、TLR7/9経路を阻害することを見いだした。核に局在するORF4bは、リン酸化酵素IKKαと特異的に結合して、その大部分を細胞質から核内に引き込むことが分かった。さらに、ORF4bおよびIKKαの変異体を用いた解析から、IKKαを核内に隔離することと、転写因子IRF7のリン酸化プロセスを妨害することが、TLR7/9経路阻害に重要であることが示唆された。
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は、中東地域で継続的に発生している新興の重症呼吸器感染症の原因ウイルスである。致死率が高く、くしゃみなどの飛沫を介して比較的容易に伝播するため、ハイリスク者への対応が望まれているが、現在までに有効な治療法はなく、またワクチンも開発されていない。本研究は、新規の弱毒ワクチンをデザインすることを目的として、MERS-CoVが備える宿主インターフェロン(IFN)システムを妨害する能力とその分子機構を明らかにする。本研究課題の成果は、MERS-CoVの病原性発現の理解につながるとともに、ワクチン開発に資する知見を提供できると期待される。
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