研究課題/領域番号 |
20K08849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
竹村 弘 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80301597)
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研究分担者 |
大神田 敬 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (40793469)
國島 広之 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60339843)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | β-ラクタマーゼ / バイオフィルム / カルバペネム耐性腸内細菌目 / カルバペネマーゼ産生菌 / 接合伝達 / 抗菌薬 / 薬剤感受性 / ESBL / カルバペネム耐性腸内細菌目細菌 / Enterobacter cloacae / カルバペネム耐性腸内細菌科細菌 / 薬剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
現在わが国で急増中のカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)、基質拡張型βラクタマーゼ産生菌(ESBLs)などの多剤耐性グラム陰性桿菌を対象に、臨床分離菌の薬剤耐性機序を検討し、さらに難治性感染症の原因となるバイオフィルムを形成した状態の細菌における、抗菌薬感受性、βラクタマーゼ産生性、耐性遺伝子の接合伝達性などの挙動を実験的に明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
わが国で検出されるCREの多くはカルバペネマーゼ産生菌(CPE)ではない所謂non CPE-CREである。またCPEとしてはIMP-1産生Enterobacter cloacaeが多く、その傾向は東日本で顕著である。研究代表者は本研究において、様々な角度からCPE、non CPE-CREの耐性及び薬剤耐性伝達のメカニズム、その疫学的特徴を明らかにしたいと考えている。また現代医療において体内留置デバイスは不可欠なものだが、その周囲に細菌が付着すると、増殖する過程でバイオフィルム(BF)という構造を形成し、これが感染症の難治化の原因となる。このBF中では、生残のために菌同士が協調的に働くことが知られており、抗菌薬に対する抵抗性、BL産生性、耐性遺伝子の伝達効率などに影響を及ぼすことが容易に想像される。この観点から令和4年度に引き続きIMP-1産生E. cloacaeなどプラスミド伝達性耐性遺伝子保有株をドナー、BFを形成した状態の大腸菌をレシピエントとして接合伝達効率を検討する実験系の確立をめざしている。これより先に、BF形成性を定量的に評価するための実験系を既存の方法を改変して自作し、大腸菌の各種臨床分離菌やコンピーテント細胞のBF形成性をスクリーニング検査した。その結果として、先の実験で確立した耐性遺伝子の接合伝達性を評価できる実験系のレシピエント細胞である大腸菌SMUM-6380(ML4909)がBF過剰産生株で、そのBF産生性はMIC付近の濃度のβ-ラクタム薬で増強されることが判明した。さらにMIC測定の対照菌として教室で保存している大腸菌(ATCC25922)の中に、同様のBF過剰産生変異株が含まれていることも判り、そのメカニズムの解明を優先することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに大腸菌のBF形成性を定量的にスクリーニング検査し、RFP耐性のコンピテント細胞である大腸菌ML4909株が実はBF過剰産生株で、そのBF産生性はポリビニール表面に接着した細菌に対してMIC付近の濃度のβ-ラクタム薬を添加することで、さらに増強されることを見いだした。このML4909株をレシピエントして、IMP-1産生E. cloacae、ESBL産生大腸菌をドナーとして接合伝達実験にも成功しており、現在抗菌薬存在下でのBF形成状態の菌における接合伝達率について検討している。またMIC測定の対照菌である大腸菌ATCC25922において親株と比べて、BF産生性が明らかに高い変異株(SMUM-6829)を分離したが、この変異株はML4909同様にMIC付近の濃度のβ-ラクタム薬刺激でBF産生性が著しく増強されることが判った。本研究は、様々なCREのBL産生による耐性、薬剤耐性伝達機序の解明、より有効な抗菌薬療法の確立を主な目的としているが、大腸菌標準菌株の突然変異株でBF過剰産生が観察されたこともあり、BF産生性に関する新知見を得られる機会と考え、この現象のメカニズム解明を優先させた。具体的には親株と変異株の全ゲノム解析、qRT-PCRを用いた線毛関連遺伝子のmRNA発現の比較検討、走査型、透過型電子顕微鏡による観察などである。このため本来の研究に遅れを生じ、CREを含むE. cloacae、大腸菌のBL産生性、大腸菌のBF形成量、BF形成大腸菌における接合伝達率など様々な評価系を既に確立しているという点は一定の成果と言えるが、これを用いた実験で成果を得ることはできておらず、このため達成度としては、(2) のカテゴリーとした。
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今後の研究の推進方策 |
前項でも記載したように、BF過剰産生変異大腸菌の変異について引き続き検討する。具体的には、親株と変異株の全ゲノム解析、qRT-PCRを用いたBF関連遺伝子、線毛関連遺伝子のmRNA発現の比較検討、走査型、透過型電子顕微鏡によるBF形成菌の観察などである。また先にML4909株がBF過剰産生株であり、BF産生性がβ-ラクタム薬、特に第3世代セフェム薬であるceftazidime(CAZ)によって増強されることを見いだした。そこでML4909のBFをレシピエントとして、抗菌薬の抗BF効果、CAZをはじめとする各種抗菌薬の接合伝達性に及ぼす影響、などを順次評価していき、顕著な成果が出そうなものを優先的に実験的に解明していくつもりである。これらの研究成果をまとめて、国内外の学会、学術雑等で報告すること当面の目標とする。さらに本研究の大きなテーマであるCRE、基質拡張型BL産生菌(ESBLs)などの多剤耐性グラム陰性桿菌がBFを形成することで、菌の耐性化、感染難治化に、どのような影響を及ぼすのかについての分子生物学的検討にも取り組んでいく予定である。
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