研究課題
基盤研究(C)
ω6不飽和脂肪酸を主成分とする高脂肪食の摂取により形成される腸内細菌叢が、肥満、糖代謝異常を誘導するメカニズム、およびある発酵食品に含まれるポリフェノールX投与によって形成されたAkkermansia muchiniphila優位の腸内細菌叢が、肥満、インスリン抵抗性を改善するメカニズムを明らかにする。2019年に本学動物実験施設に飼育設備を立ち上げた無菌マウスに対する腸内細菌移植(ノトバイオート実験)を行い、レシピエントマウスの表現型を詳細に検討し、栄養素や食成分が腸内細菌叢の変化を通して代謝に与える影響とそのメカニズムを明らかにする。
様々な栄養組成の食餌をマウスに投与し、高大豆油食によって構築される腸内細菌は最も肥満と糖代謝異常を引き起こすことを見出した。その機序としてノトバイオートマウスを用いた血漿のリピドミクス解析を通じ、高大豆油食の腸内細菌が血漿脂質プロファイルに最も大きなインパクトを及ぼすことを見出し報告した(iScience 2021)。和漢薬の防風通聖散は腸内細菌A. muciniphilaを増殖させ糖代謝を改善することを見出した(Sci. Rep. 2020)。さらに発酵食品成分XがA. muciniphilaの増殖を介して脂質の吸収を抑制し、インスリン抵抗性改善作用があることを見出した(投稿準備中)。
近年腸内細菌叢の破綻が肥満や糖代謝異常の原因となることが明らかにとなり、腸内細菌叢の作用解明が注目されている。一方で特定の腸内細菌が宿主のエネルギー代謝や糖代謝にどのような影響を及ぼすのか明らかになっていない点が多かった。本研究で、私は無菌マウスと腸内細菌移植(ノトバイオート)実験の系を駆使して食餌の栄養組成、とくに高大豆油食や食品成分X、和漢薬、防風通聖散が腸内細菌叢をどのように変化させ、宿主の脂質代謝に作用して肥満やインスリン抵抗性を調節するのかの一端を明らかにすることができた。腸内細菌の作用を利用したメタボリック症候群の新たな治療戦略提案につながると期待される。
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