研究課題/領域番号 |
20K08899
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
竹下 章 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (20322646)
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研究分担者 |
竹内 靖博 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (50202164)
西岡 宏 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (60218120)
山田 正三 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (80260131)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | クッシング病 / USP8 / CYP3A4 |
研究開始時の研究の概要 |
クッシング病はACTH産生下垂体腺腫が原因である。良性の腫瘍にかかわらず、高コルチゾール血症により中心性肥満、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、虚血性心疾患、脳血管障害など多くの代謝障害を合併し、無治療な場合の予後は不良である。2015年にクッシング病の約3分の1の症例で脱ユビキチン化酵素USP8の体細胞変異が報告された。しかしながら変異がどのような機序でACTHの過剰分泌や腫瘍化に働くのかいまだ不明である。本研究ではUSP8変異のある腫瘍と変異のない腫瘍の遺伝子の発現と蛋白質の発現を網羅的に比較解析することで、USP8変異が作用する標的蛋白を同定しUSP8変異を介したクッシング病の病態を解明する。
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研究実績の概要 |
【背景】クッシング病は、ACTH産生下垂体腫瘍が原因の疾患である。クッシング病では高コルチゾール血症に関わらずACTHの持続的分泌が認められ、ネガティブフィードバック(NF)機構の破綻が特徴であるが、そのメカニズムは不明である。 【方法と結果】ACTH産生下垂体腫瘍から抽出したRNAのうち、ACTHの前駆体であるPOMC遺伝子の発現が高い腫瘍3例と、低い腫瘍3例を選び、DNAマイクロアレイを用いて両群での遺伝子発現プロファイルを比較したところ、POMC遺伝子の発現が高い腫瘍でコルチゾール代謝酵素に関わるCYP3A4遺伝子発現が有意に高いことが判明した。このため50例の腫瘍RNAを用いて定量リアルタイムPCRを行い検証したところPOMC mRNAとCYP3A4 mRNA発現量に正の相関が認められた。CYP3A4モノクローナル抗体を用いた免疫染色を68例のACTH産生下垂体腫瘍で検討したところ、約60%が発現陰性、弱陽性が約20%、陽性が約20%でありCYP3A4 mRNAとCYP3A4免疫染色スコアに正の相関が認められた。またUSP8変異陽性のCushing病下垂体腺腫でCYP3A4発現が有意に高値であった。腫瘍の初代培養を用いた解析で生理濃度のコルチゾール(≧30 nM)や低濃度のデキサメタゾン(≧3 nM)で用量依存性にCYP3A4 mRNAと蛋白発現、CYP3A4の酵素活性の上昇が認められたことからグルココルチコイド受容体GRを介した正の発現調節が考えられた。 【考察】ACTH産生下垂体腫瘍の約40%にCYP3A4の発現が認められた。高コルチゾール血症によりGRを介してCYP3A4発現が誘導されることでCYP3A4による腫瘍細胞内コルチゾールの代謝が促進されることがクッシング病におけるNF機構の破綻の成因に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
腫瘍検体を凍結保存し保存検体を用いた初代培養と免疫染色を行って評価しているが、保存法に問題があり死細胞が多く認められ正確な結果が得られなかったがほぼ解決した。 これまでに得られた結果から、疾患の成因をより明らかにすることに力を注いでいる
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今後の研究の推進方策 |
下垂体腫瘍初代培養細胞のCYP3A4発現は低 いものが多いため高感度な免疫染色を確立するのに時間を要したが解決しつつある。次年度の研究では多くの患者サンプルを用いて培養を行 い、リアルタイムリアルタイムPCR方によるCYP3A4 mRNAの発現、免疫染色、酵素活性を評価予定である。
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