研究課題
基盤研究(C)
多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1型)の原因遺伝子MEN1は癌抑制遺伝子であり、腫瘍発症機構はKnudsonのtwo-hit theoryに従うと考えられるが、詳細な腫瘍発症機構は不明のままである。私はMEN1の転写産物meninの共役蛋白である転写因子に着目した。meninとこの転写因子の共役結合破綻が、MEN1型での腫瘍発症の直接の契機となるとの仮説を立て、それを立証する実験を計画した。MEN1型の腫瘍の種々のプロセスで変動する遺伝子群を捉え、腫瘍化機構の解明や、内分泌腫瘍の診断、治療標的としての新たな分子マーカーの同定に発展することが期待される。
多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1型)の原因遺伝子MEN1は癌抑制遺伝子と考えられているが、内分泌腺腫瘍化におけるMEN1遺伝子のヘテロ接合性の欠失(loss of heterozygosity: LOH)のメカニズムと、腫瘍形成過程におけるLOHの意義につき検討した。MEN1型における標的内分泌腺においては、LOH発症前の遺伝子プロファイルが、腫瘍形成後の遺伝子プロファイルと大きく異なっていた。また内分泌腺の腫瘍化において、MEN1遺伝子のLOHの起こり方は同一個体の腫瘍部においても均質でなく、またLOHの程度と、腫瘍の悪性度や機能獲得(ホルモン過剰分泌)とは相関がないことが判明した。
これまでMEN1型の腫瘍発症機構の研究としては、癌抑制遺伝子の機能破綻後の、すなわちLOHが生じた後の腫瘍組織を用いてMEN1の機能不全が腫瘍増殖に及ぼす影響について論ぜられた研究が主であったが、今回、私達は、MEN1型におけるLOH発症前の標的内分泌腺における遺伝子変動に着目して研究を遂行した。今後研究を発展させることでp53遺伝子、Rb遺伝子、APC遺伝子など他の癌抑制遺伝子にも共通するLOHの機構の解明につながる可能性がある。また、膵内分泌腫瘍化に関わる新規因子群や経路の詳細が解明されれば、膵内分泌腫瘍の診断、治療における新たな分子マーカーや、創薬のターゲットとなることが期待される。
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