研究課題
基盤研究(C)
全世界の糖尿病罹患者は2019年で4億6300万人と推計されている。膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞は、血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌により、糖代謝を制御している。糖尿病における血糖値上昇の直接の原因は、膵β細胞の障害によるインスリンの不足である。よって、膵β細胞障害のメカニズムを明らかにする事は重要である。本研究では、我々がこれまでに明らかにしてきた、成熟β細胞の特徴的な遺伝子発現パターンの制御メカニズムを解明し、その破綻が膵β細胞機能に与える影響を明らかにして、糖尿病の先制医療の基盤を形成する。
インスリンを分泌する膵β細胞の障害は、糖尿病の原因となる。我々はこれまでに、糖尿病モデルマウスでは膵β細胞の脱分化が認められることを、細胞系譜追跡実験などにより明らかにした。脱分化膵β細胞では、成熟膵β細胞で発現が抑制されている分子の発現増強が認められる。そこで本研究では、網羅的遺伝子発現解析の結果から、成熟膵β細胞で特異的に発現抑制され、細胞障害時に発現が増強する遺伝子群を同定し、それらの機能を解析した。その結果、膵β細胞障害においてそれら遺伝子が発現増強する分子メカニズムを解明するとともに、それら遺伝子産物が、膵β細胞と膵島周囲の微小環境との相互作用に影響を与える可能性を明らかにした。
これまでの生物学の研究では主に、成熟した細胞に発現して、生理的に重要な機能を持つ遺伝子と、それらの病態における発現変動が、解析対象とされてきた。これに対して、近年の遺伝子発現解析技術の発達は、特定の細胞特異的に発現が抑制される遺伝子を解析対象とすることを可能にした。細胞機能と遺伝子発現との関連を解析する上で、膵β細胞は機能のアッセイ系やマーカー分子が確立しており、対象として扱いやすい。本研究課題では、成熟膵β細胞特異的に発現が抑制されている遺伝子群の機能を解析し、発現抑制の破綻と膵β細胞障害との関連について分子レベルで一定の知見を得ており、学術的に意義ある研究成果といえる。
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