研究課題/領域番号 |
20K08921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
野村 政壽 久留米大学, 医学部, 教授 (30315080)
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研究分担者 |
蓮澤 奈央 久留米大学, 医学部, 助教 (00837908)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ATP / Mitochondrial dynamics / VNUT / DRP1 / NASH / Purinergic signal / Mitochondrial fission / Autophagy / ミトコンドリアダイナミクス / プリン受容体シグナル / 慢性炎症 / Purine signal / inflammation |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリア(Mt)は生体の栄養状態(同化/異化)を感知し、常に融合・分裂のバランスを変化させ、動的にその構造を変化させている。このMtダイナミクスはMt自身の品質管理のみならず、エネルギー代謝(ATP産生)や慢性炎症に関与する。一方、Mtで産生されたATPは細胞外に分泌されプリン受容体シグナルを駆動し炎症を惹起する。本研究では肝臓に焦点を当て、Mtダイナミクスとプリン受容体シグナルの関連を明らかにし、Mtダイナミクスによる炎症制御機構の全容を解明する。Mtダイナミクスを標的とした、新たなエネルギー代謝・慢性炎症の制御法の開発・臨床応用へ向けた基礎的基盤の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究により過食に伴いNASH、肝硬変へ進展する分子機構を解明した。ミトコンドリアダイナミクスは生体のエネルギーバランスを感知し、ATP産生を調節している。エネルギー供給の過剰により、肝細胞でのATP産生が亢進し細胞内ATP濃度が増加すると、VNUTを介する細胞外へのATP分泌が増加する。細胞外ATP分泌に引き続くプリン受容体シグナルの活性化がDRP1をリン酸化し、ミトコンドリア分裂を惹起していることを明らかにした。代謝産物であるATPはDAMPとしての作用も併せ持ち、DRP1を介したミトコンドリア分裂にVNUTを起点としたプリン受容体シグナルが不可欠であることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高齢化社会を迎え、糖尿病、NASHといった生活習慣病が急増し、その克服は健康寿命の延伸に不可欠である。現代社会における過食、過栄養の結果、蓄積する代謝物に対する自然免疫応答により慢性炎症が引き起こされることがこれら生活習慣病に共通の分子基盤であることが示唆されている。本研究により、ミトコンドリアダイナミクス(代謝)とプリン受容体シグナル(炎症)をつなぐ分子としてVNUTを同定し、代謝物であるATP自身が炎症を惹起する分子機構を明らかにした。この研究成果を基に、VNUTを標的とするNASHを含めた生活習慣病の予防法、治療法開発が進むことが期待される。
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