研究課題/領域番号 |
20K08941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
江村 隆起 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (70420065)
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研究分担者 |
古村 眞 東京大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (10422289)
渡辺 栄一郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児外科系専門診療部, 医師 (40623327)
尾花 和子 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60272580)
佐藤 毅 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60406494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 虫垂炎 / 腸内細菌叢 / 口腔内細菌叢 / 細菌叢 / 口腔 / 大腸癌 / 歯 |
研究開始時の研究の概要 |
無用の長物として扱われてきた虫垂は、安易に切除される傾向にあったが、虫垂の免疫学的な重要性が報告され、虫垂を失うリスクが知られるようになった。そこで、虫垂炎を予防し、虫垂を残していくことが重要である。近年、急性虫垂炎の虫垂内は、口腔内細菌であるフゾバクテリウム属菌が優勢であることが報告された。腸管内へ移行し難い口腔内細菌が、虫垂細菌叢で優性となる原因の究明が、虫垂炎の病態解明につながる可能性がある。そこで、口腔内細菌叢と虫垂炎の関連について検討し、口腔内環境改善による虫垂炎の予防法について検討する。
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研究実績の概要 |
虫垂炎に対する予防法を確立することを目的として以下の検討をおこなった。 Ⅰ:小児の口腔内細菌叢・腸内細菌叢および虫垂内細菌叢の分析を行い、虫垂炎に特徴的な細菌叢を特定する。 Ⅱ:正常小児の口腔内・腸内細菌叢および生活習慣の分析から細菌叢の分類を行い、虫垂炎に相関する生活習慣・細菌叢を特定する。 虫垂炎症例19例、正常小児36例の上記細菌叢を16S解析より分析した結果、600種以上の細菌が検出された。細菌分類における科(Family)における細菌叢の解析を行ったところ、虫垂炎の虫垂細菌叢は、フゾバクテリウム科細菌等の口腔内細菌が優勢で、全体の54.7%を占めており、虫垂内の嫌気性条件は、特に口腔内の偏性嫌気性菌にとって有利であり、虫垂炎に際して炎症の進行に関与していると推察された。虫垂炎群と健常群の便の細菌叢の比較では、 健常群では虫垂炎群より、ラクノスピラ科細菌が増加していた。健常群において便内のフゾバクテリウム陽性例と陰性例を比較したところ陰性例ではラクノスピラ科細菌が増加していた。フゾバクテリウム陽性例は、年長児に多い傾向があった。生活習慣、既往歴の分析では発酵食品嗜好例ではラクノスピラ科細菌が増加していた。また虫垂炎群の齲歯罹患率は31.6%、健常群は8.3%と優位差があったが、虫垂炎群は年齢が高い傾向にあった。 症例数が少なく、口腔と腸内細菌叢の相関性を示唆する因子の同定には至っていない。腸内細菌叢の多様性を獲得する小児期に、フゾバクテリウム科細菌などの口腔内細菌が腸内に移行していると考えられるが、短鎖脂肪酸産生菌であるラクノスピラ科細菌が優勢な腸内細菌叢ではフゾバクテリウム科細菌が少数であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当院において新型コロナウイルス感染症による診療制限があり、本研究では飛沫感染のリスクがあるため、研究実施が困難な状況があった。
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今後の研究の推進方策 |
歯科と連携して、データを集積していく。
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