研究課題/領域番号 |
20K08947
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
尾上 隆司 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (90549809)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 癌微小環境 / エクソソーム / 免疫逃避 / 腫瘍血管内皮 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、新規癌治療法として免疫療法が注目されている。しかし、著効する例もあるがその効果は未だ限定的な場合も多い。その背景には癌のもつ免疫逃避機構が関与していると考えられている。細胞から分泌される膜小胞であるエクソソームは様々な生理現象に関与することが知られているが、これまでの研究から癌微小環境由来エクソソームはその表面に免疫チェックポイント分子であるPD-L1を表出し、癌を攻撃する免疫を弱め、免疫逃避している可能性が示唆されている。本研究では動物モデルおよび臨床検体を用いて、癌由来エクソソームの分子学的特徴および免疫抑制機序を明らかにし、免疫療法における新規治療に応用するための基盤研究を行う。
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研究実績の概要 |
これまでのin vitroの実験で腫瘍微小環境を模した培養上清から分離したエクソソームがT細胞抑制性を持ち、免疫抑制性エクソソームであることを明らかとした。さらに同実験系において、癌細胞からの上清にHMGB1中和抗体を作用させることにより癌微小環境由来のエクソソームがT細胞抑制性を失うが、アイソタイプコントロール抗体では癌微小環境由来のエクソソームがT細胞抑制性を保持することを見出した。この結果より、腫瘍からのHMGB1が微小環境からの免疫抑制性エクソソーム分泌に関わっていることが示唆された。In vivoモデルであるマウスへのB16メラノーマ細胞接種実験では、炎症物質との同時接種によりB16メラノーマ腫瘍増大を有意にみとめたが、この増大はレシピエントマウスへのHMGB1中和抗体により減弱された。この結果から、in vivoでもin vitroと同様の機序で、癌由来のHMGB1が癌微小環境での免疫抑制性エクソソーム分泌を惹起し、腫瘍微小環境での免疫逃避を引き起こしている可能性が示唆された。 現在、腫瘍抗原特異的T細胞を用いて、上記メカニズムが癌抗原特異的な反応であることをin vitroおよびin vivoモデルで検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでの新型肺炎ウイルス流行および研究室の使用制限や試薬提供業者の制限で研究は遅滞している。またコロナ禍による遺伝子改変マウス供給の遅滞により、トランスジェニックマウス入手が大幅におくれたため、これに関連する実験も遅れているが、現在入手し予定の実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、通常通りの実験スケジュールに戻り、実験進行は回復したため、in vivoモデルでの血液中エクソソームの分離・解析を再開、抑制性エクソソームのプロファイル解析を進める。
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