研究課題/領域番号 |
20K08970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
風間 宏美 東京医科大学, 医学部, 助手 (00339350)
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研究分担者 |
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
宮原 か奈 東京医科大学, 医学部, 講師 (90532391)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 乳癌細胞 / 小胞体ストレス / ROS / HDAC6 / プロテアソーム / アグリソーム / ユビキチン / 活性酸素 / 活性酸素種 / オートファジー / 乳がん / アポトーシス / ヒストン脱アセチル化酵素6 / 乳がん細胞 / ERストレス |
研究開始時の研究の概要 |
転移・再発乳癌に対する新規治療法の開発を目指して以下に従って実施する。 ①アグリソーム定量解析法を確立し,アグリソーム形成阻害効果の比活性の高い薬剤を既存薬を中心に探索する。 ② 応募者が既に確立したERストレス定量解析を用いて①で同定されたアグリソーム阻害剤とプロテアソーム阻害剤/オートファジー阻害剤の各薬剤コンビネーションにおけるERストレス負荷とアポトーシス誘導能を検証し,細胞死誘導の至適条件を決定する。 ③zebrafish xenograft法と上記のERストレス定量解析法を融合させ,②で確認された薬剤コンビネーションのin vivo治療効果を検討する。
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研究実績の概要 |
難治性乳癌胞株であるMDA-MB231、MDA-MB468、SKBR3に、実臨床で使われているプロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(BTZ)と、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であるリコリノスタット(RCS)を同時に添加すると、単剤添加と比較して相乗的な殺細胞効果を認めた。Annexin-V陽性/PI陰性細胞の出現ならびにcaspase-3の活性化が弱いことから、古典的アポトーシス経路を介さない細胞死誘導が示唆された。一方で、ERAI-XBP1-Venusプローブを用いた小胞体(ER)ストレス経時的定量解析法から、両薬剤併用で顕著にERストレス負荷が増大することが明らかとなった。これを裏付けるように、透過型電子顕微鏡による観察においてERの膨化が観察され、ERストレス負荷を示すタンパク質GRP78、p-PERK、p-eIF2α、p-IRE1αの発現も上昇していた。また、RCSとBTZの併用によりROS産生が顕著に上昇するが、ROSのscavengerの存在下では、ERストレス負荷、殺細胞増強効果の全てがほぼ完全にキャンセルされた。また、シクロヘキサミド処理や、Rpl21遺伝子ノックダウンによる翻訳抑制では、2剤併用によるERストレス、ROS産生、および殺細胞増強効果を全て抑制した。以上のことから、ER内のS-S結合形成時に発生するROSが、この細胞死に関与していることが示唆された。しかしながら、ER内でタンパク質のS-S結合を形成するPDIと共役しH2O2を産生する酵素ERO1、NOX4をそれぞれノックダウンしたが、BTZ+RCS処理によるROS産生は減少せず、現在までにROS産生を直接行う分子の同定には至っていない。以上より、両薬剤併用において、翻訳に伴う小胞体内のROS産生亢進とERストレス負荷が相互に連関して、強力な乳癌細胞死を誘導していると考えられた。
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