研究課題/領域番号 |
20K08973
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 公益財団法人がん研究会 (2022) 国立研究開発法人国立がん研究センター (2020-2021) |
研究代表者 |
古川 孝広 公益財団法人がん研究会, 有明病院 がん早期臨床開発部, 部長 (70444916)
|
研究分担者 |
向原 徹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (80435718)
内藤 陽一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (90590373)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 乳がん / 脳転移 / HER2 / HER3 / TROP2 |
研究開始時の研究の概要 |
乳がんは女性の罹患率1位を占め、高頻度にみられる脳転移例の予後は不良であるため、重要な臨床的課題である。脳転移のバイオロジーを検討する上で、脳転移標本は極めて重要となるが、国立がん研究センターでは脳転移巣の切除例も多く、脳転移研究をする上で有利な環境がある。少数例の先行研究では、原発巣と脳転移巣でサブタイプが変わること、HER3が治療抵抗性のバイオマーカーとなること、が示唆されている。HER3を標的とする抗体結合薬(ADC)が開発されている現状では、乳がんの原発巣と脳転移巣のサブタイプの変化や、バイオマーカー候補の発現頻度を明らかにすることは、乳がん脳転移の治療開発につながる。
|
研究実績の概要 |
背景:乳癌は10-16%の患者に脳転移を発症する。本研究の目的は、原発と脳転移におけるHER2、HER3、TROP2、B7-H3の発現レベルを明らかにし、脳転移に対する標的探索を目的とした。 方法:本研究は国立がん研究センターで2000年1月から2017年12月の間に乳癌の脳転移と診断され、脳転移手術例(n=44)を対象とした。脳転移におけるHER3、TROP2、B7-H3の免疫組織化学染色を行った。膜状染色強度のIHC 2+/3+を陽性とし、Hスコアで定量化した。 結果:乳癌サブタイプはTNBC/HR+HER2-/HR+HER2+/HR-HER2+で8/18/14/4例含まれた。原発/脳転移の陽性率は、HER3(26[59%]/40[91%])、TROP2(31[70%]/38[86%] )、B7-H3 (13[30%]/12[27%])であった。脳転移HER3がHスコアで有意に高値(135±60 vs. 79±63;p=0.00012)であった。サブタイプ毎の脳転移の陽性率は,HER3 (6[75%]/16[89%]/14[100%]/4[100%])、TROP2 (8[100%]/12[67%]/14[100%]/3[75%])、B7-H3 (1[13%]/ 4[22%]/ 4[29%]/3[75%])であった。 結論:脳転移のHER3・TROP2は高発現であり、HER3は原発より高発現に変化した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究結果は全て揃い、ESMO、JSMOの学会で発表しております。 現在論文執筆中であり、本年度中のアクセプトを目指しております。
|
今後の研究の推進方策 |
乳がん、脳転移の腫瘍周囲環境の免疫細胞の多重染色により、TILsやそのサブセットの予後への影響について評価する。 また、脳転移に発言しやすいマーカーのダイナミクスのデータより、転移性乳がんを対象とした抗体結合役を用いた医師主導試験を企画中である。
|