研究課題/領域番号 |
20K08980
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下田 雅史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30644455)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | vascular mimicry / vessel co-option / 血管擬態 / 乳癌 / 高悪性度 / Focal adhesion kinase / focal adhesion kinase / HER2陽性乳癌 / 細胞内骨格 / 転移 |
研究開始時の研究の概要 |
高悪性度の乳癌であるHER2陽性乳癌にはトラスツズマブをはじめとする有効な分子標的薬が存在するが、未だ治療成績は不十分である。我々はトラスツズマブに耐性化した乳癌細胞が血管擬態という血管に類似する形質を獲得すること、血管擬態にはRho-アクチンという細胞内経路が必要であることを細胞レベルで明らかにした。本研究では、動物実験によって、トラスツズマブ耐性化と血管擬態に関連があるかどうかを確かめ、Rho-アクチン経路の阻害薬が血管擬態の抑制を通じてHER2陽性乳癌の進行を阻止できるかどうかを解明する。本研究は、血管擬態の阻害という新規の治療の開発につながる重要かつ画期的な研究になり得るものである。
|
研究成果の概要 |
増殖力が強く転移しやすい悪性度の高い乳癌はその性質を変えて生き延びようとする。血管の壁を構成する血管内皮に似た性質に変化して血流を獲得しようとする現象が知られているが、それを抑制する治療薬は未だ存在しない。申請者は先行研究において細胞の移動を抑えることでこの現象を抑制できることを見出している。本研究では、デファクチニブという細胞運動を標的とする低分子化合物により、乳癌細胞が移動できなくなって血管様構造を作れなくなることを発見した。また、マウス乳癌モデルにおいてデファクチニブが腫瘍の血管を減少させて増大を抑制することを見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
HER2陽性乳癌やトリプルネガティブ乳癌という悪性度の高い乳癌は全体の3分の1程度を占め、その再発率の高さや再発後の生存期間の短さが問題である。本研究では悪性度の高い乳癌が持つ可塑性に着目してその性質を阻害する薬剤を見出すことにした。腫瘍の増大には血流の獲得が必要だが、乳癌細胞自身が血管内皮様の性質を持つことがある。本研究で申請者はデファクチニブという低分子薬剤が乳癌細胞を動きにくくして血管様の構造をとることを阻害し、腫瘍の増大を抑制することを初めて見出した。これは乳癌治療における新たな治療法となる可能性を持つ。本研究の更なる発展により、乳癌の治療成績の向上が図られることが期待される。
|