遺伝子発現解析を用いた術前甲状腺濾胞癌診断の開発

• 研究課題/領域番号: 20K08986
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
• 研究機関: 福島県立医科大学
• 研究代表者: 岩舘 学 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00381393)
• 研究分担者: 松本 佳子 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10815145) ; 鈴木 眞一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70235951)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2023年度)
• 配分額: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円); 2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円); 2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円); 2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
• キーワード: 甲状腺 / 濾胞癌 / 術前診断 / 甲状腺癌

研究開始時の研究の概要

本研究では手術標本で得られた甲状腺濾胞癌穿刺吸引細胞サンプルでも同様の結果が出る
かを明らかにする。すなわち、手術で得られた甲状腺濾胞癌責任遺伝子を手術前の穿刺吸引
細胞サンプルで診断可能かを検討する。

研究成果の概要

本研究は手術材料を用いた遺伝子発現解析と甲状腺穿刺吸引材料を用いた遺伝子変異解析をおこなった。網羅的遺伝子発現解析をおこなった。最終的に14遺伝子の発現を調べ、それぞれの遺伝子発現スコアの総和を14 Genes scoreとし、Cut off値を1.2568としたところ感度91.7%、特異度91.2%で濾胞癌と濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫を区別することは可能であった。穿刺吸引材料を用いてTERT遺伝子変異の解析も試みた。穿刺吸引細胞診で悪性と診断された以外の甲状腺結節117例を対象とした。TERT遺伝子変異は甲状腺濾胞癌だけでなく、腺腫様甲状腺腫においても変異がみられた。

研究成果の学術的意義や社会的意義

甲状腺濾胞癌を術前に診断することは困難であり、甲状腺濾胞性腫瘍の大きさ、超音波画像（血流、エラストグラフィ）、血清サイログロブリン値に加え、遺伝子発現解析や遺伝子変異を加味することにより、甲状腺濾胞癌を術前に疑うことが可能となる。現在、遠隔転移が発見されて、はじめて甲状腺濾胞癌と診断される症例もあることから、甲状腺濾胞癌の有用なツールとなりうる。

研究成果

• [雑誌論文] A Comprehensive Review of the Progress and Evaluation of the Thyroid Ultrasound Examination Program, the Fukushima Health Management Survey (2022)
  • 著者名/発表者名: Shimura Hiroki、Suzuki Satoru、Yokoya Susumu、Iwadate Manabu、Suzuki Satoshi、Matsuzuka Takashi、Setou Noriko、Ohira Tetsuya、Yasumura Seiji、Suzuki Shinichi、Ohto Hitoshi、Kamiya Kenji、Thyroid Ultrasound Examination Group
  • 雑誌名: Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｅｐｉｄｅｍｉｏｌｏｇｙ 巻: 32 号: Supplement_XII ページ: S23-S35
  • DOI: 10.2188/jea.JE20210271
  • ISSN: 0917-5040, 1349-9092
  • 年月日: 2022-12-05
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Revisiting the Geographical Distribution of Thyroid Cancer Incidence in Fukushima Prefecture: Analysis of Data From the Second- and Third-round Thyroid Ultrasound Examination (2022)
  • 著者名/発表者名: Nakaya Tomoki、Takahashi Kunihiko、Takahashi Hideto、Yasumura Seiji、Ohira Tetsuya、Shimura Hiroki、Suzuki Satoru、Suzuki Satoshi、Iwadate Manabu、Yokoya Susumu、Ohto Hitoshi、Kamiya Kenji
  • 雑誌名: Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｅｐｉｄｅｍｉｏｌｏｇｙ 巻: 32 号: Supplement_XII ページ: S76-S83
  • DOI: 10.2188/jea.JE20210165
  • ISSN: 0917-5040, 1349-9092
  • 年月日: 2022-12-05
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Possible Association Between Thyroid Nodule Formation and Developmental Alterations in the Pituitary?Thyroid Hormone Axis in Children and Adolescents: The Fukushima Health Management Survey (2022)
  • 著者名/発表者名: Suzuki Satoshi、Suzuki Satoru、Iwadate Manabu、Matsuzuka Takashi、Shimura Hiroki、Ohira Tetsuya、Furuya Fumihiko、Suzuki Shinichi、Yasumura Seiji、Yokoya Susumu、Ohto Hitoshi、Kamiya Kenji
  • 雑誌名: Thyroid 巻: 32 号: 11 ページ: 1316-1327
  • DOI: 10.1089/thy.2022.0327
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Fine Needle Aspiration Cytology Implementation and Malignancy Rates in Children and Adolescents Based on Japanese Guidelines: The Fukushima Health Management Survey (2021)
  • 著者名/発表者名: Shimura Hiroki, Matsuzuka Takashi, Suzuki Satoru, Iwadate Manabu, Suzuki Satoshi, Yokoya Susumu, Ohira Tetsuya, Yasumura Seiji, Suzuki Shinichi, Ohto Hitoshi, Kamiya Kenji
  • 雑誌名: Thyroid 巻: 31巻 11号 号: 11 ページ: 1683-1692
  • DOI: 10.1089/thy.2021.0072
  • 査読あり
• [雑誌論文] CNBの適応と実際 (2021)
  • 著者名/発表者名: 松本 佳子, 塩 功貴, 長谷川 翔, 鈴木 聡, 中野 恵一, 岩舘 学, 水沼 廣, 鈴木 眞一
  • 雑誌名: 乳腺甲状腺超音波医学 巻: 10 ページ: 17-21
  • 査読あり
• [雑誌論文] Papillary thyroid carcinoma in Ukraine after Chernobyl and in Japan after Fukushima: different histopathological scenarios. (2020)
  • 著者名/発表者名: Bogdanova TI, Saenko VA, Hashimoto Y, Hirokawa M, Zurnadzhy LY, Hayashi T, Ito M, Iwadate M, Mitsutake N, Rogounovitch T, Sakamoto A, Naganuma H, Miyauchi A, Tronko MD, Thomas G, Yamashita S, Suzuki S:
  • 雑誌名: Thyroid 巻: 308 号: 9 ページ: 1-13
  • DOI: 10.1089/thy.2020.0308
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] The Clinicopathological Results of Thyroid Cancer With BRAFV600E Mutation in the Young Population of Fukushima. (2020)
  • 著者名/発表者名: Iwadate M, Mitsutake N, Matsuse M, Fukushima T, Suzuki S, Matsumoto Y, Ookouchi C, Mizunuma H, Nakamura I, Nakano K, Sakamoto A, Hirokawa M, Ito M, Naganuma H, Hashimoto Y, Shimura H, Yamashita S, Suzuki S
  • 雑誌名: J Clin Endocrinol Metab 巻: 105 号: 12 ページ: 573-573
  • DOI: 10.1210/clinem/dgaa573
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] 甲状腺結節に対する甲状腺穿刺材料を用いた TERT 遺伝子変異診断の役割について (2024)
  • 著者名/発表者名: 岩舘学、塩功貴、松本佳子、鈴木聡、水沼廣、山谷幸恵、金子裕眠、 志村浩己、鈴木眞一、古屋文彦
  • 学会等名: 第36回日本内分泌外科学会総会
• [学会発表] 甲状腺FNAC、CNBに関するUp-to-date 甲状腺穿刺細胞を用いた遺伝子診断 (2021)
  • 著者名/発表者名: 岩舘 学, 松本 佳子, 塩 功貴, 鈴木 聡, 水沼 廣, 山谷 幸恵, 金子 裕眠, 志村 浩己, 鈴木 眞一
  • 学会等名: 第33回日本内分泌外科学会総会
• [学会発表] 甲状腺濾胞癌と甲状腺良性結節を区別する遺伝子発現解析の検討 (2021)
  • 著者名/発表者名: 岩舘 学, 松本 佳子, 鈴木 聡, 塩 功貴, 水沼 廣, 中野 恵一, 鈴木 眞一
  • 学会等名: 第121回日本外科学会総会
• [学会発表] 甲状腺癌におけるBRAFV600E変異検出のための免疫組織学染色の有用性について (2021)
  • 著者名/発表者名: 岩舘 学, 光武 範吏, 松本 佳子, 鈴木 聡, 水沼 廣, 中野 恵一, 中村 泉, 福島 俊彦, 山谷 幸恵, 斎藤 勝治, 鈴木 眞一
  • 学会等名: 第94回日本内分泌学会学術総会
• [学会発表] 網羅的遺伝子発現解析を用いた甲状腺濾胞癌の鑑別 (2021)
  • 著者名/発表者名: 岩舘学, 松本佳子, 長谷川翔, 塩功貴, 鈴木聡, 水沼廣, 鈴木眞一
  • 学会等名: 第32回 東北甲状腺談話会
• [学会発表] 網羅的遺伝子発現プロファイルを用いた甲状腺濾胞癌マーカーの解析 (2020)
  • 著者名/発表者名: 岩舘学, 松本佳子, 長谷川翔, 塩功貴, 鈴木聡, 水沼廣, 中野恵一, 中村泉, 鈴木眞一
  • 学会等名: 第120回日本外科学会定期学術集会
• [学会発表] 甲状腺癌におけるBRAFV600E変異検出のための免疫組織学染色の有用性について (2020)
  • 著者名/発表者名: 岩舘学, 光武範吏, 松本佳子, 鈴木聡, 水沼廣, 中野恵一, 中村泉, 福島俊彦, 山谷幸恵, 斎藤勝治, 鈴木眞一
  • 学会等名: 第63回日本甲状腺学会学術集会