研究課題
基盤研究(C)
近年の乳癌患者の増加に伴って乳房超音波検査の重要性が増しており、その精度管理は急務であると考えられる。これまでに申請者とIT企業の共同研究により、AIによる乳房超音波画像診断システムを開発した。この診断システムは判定時間0.04秒で、感度91.8%・特異度91.4%の精度で腫瘤性病変の判定を行い、リアルタイム診断にも対応可能である。本研究では、システム精度向上を目的として、症例画像提供に協力する共同研究施設と教師データとなる乳房超音波画像の蓄積10000症例を目指し収集を行う。さらに、対策型検診における乳房超音波検査の二次読影によるダブルチェックをAIが施行することを目的として臨床試験を遂行する。
ディープラーニング技術を基にした人工知能(AI)は大きな発展を遂げ、時代の要請や期待に応えるべく、医療への導入が始まりつつある。本研究では乳房超音波検査に対するAI診断技術の確立を多施設共同で行い、要精密検査症例の抽出判定において感度91.2%・特異度90.7%、判定閾値に基づくROC曲線のAUCは0.95と、実用に耐える精度であることを確認した。また、AI診断を参考に医師が診断を行うことが正診率の向上に寄与し、AI診断を参考にしたことでかえって見落としが増えるなど、安全性に問題がないことが確認された。
AIの医療応用への試みは、画像診断・病理診断などを中心に行われているが、関連する学会をはじめとするアカデミアや臨床医が慎重にその適用や安全性を吟味する必要がある。我々はこのように実用に耐える精度のAI診断システムを構築し、これを医師が実際に使用することが、安全にかつ正診率の向上につながることを確認した。そのため、本研究はAI診断の実力と安全性を実際の臨床に即した形式で検証するものであり、そのような報告は世界的に見ても存在しないため、医療への今後のAI導入に対して、大きな貢献を与えると考えられる。
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