研究課題
基盤研究(C)
肝胆膵領域のがん組織の多くは「がん間質の線維化」という共通した病理組織学的所見があることから、がん間質に存在する筋線維芽細胞や免疫細胞について、形態学的、分子生物学的解析を行い、その役割や相互作用を明らかにする。さらに、がん間質に豊富に存在する細胞外基質について、その由来と構成を解析し、がんの増生に与える影響について検討する。がん組織の性状を詳細に解析し、予後との関連を検証することで、バイオマーカーや治療標的を見出すことができる可能性があり、肝胆膵領域のがんの長期予後を改善することが期待される。
肝胆膵領域のがん組織は「がん間質の線維化」という共通した病理組織学的所見が認められる。肝原発の悪性腫瘍のうち、がん間質の線維化が高度な肝内胆管がんについて、がん間質のコラーゲン組織と浸潤する免疫細胞を免疫組織学的に解析し、予後との関連を検討した。肝内胆管がんのがん間質に増生するコラーゲンは、type1と3が主体であり、正常肝組織と比較するとtype3の割合が高かったが予後との相関は認められなかった。リンパ球の組織面積当たりの浸潤細胞数は、多いほど予後(全生存、無再発生存)良好であった。肝内胆管がんに対するがん免疫療法は標準治療となっていないが、手術時にがん免疫が誘導されていると考えられる。
予後不良な肝臓原発のがんである肝内胆管がんには、手術以外に有効な治療法がない。手術で切除された癌の組織を性状解析することにより、治療標的を見出し、有効な治療法開発につなげることを目的として行われた研究である。近年、新たながんの治療法として確立された免疫チェックポイント阻害薬の有効性について、薬物ががん細胞に辿り着くのを阻害すると考えられている間質の線維の状態や免疫チェックポイント阻害薬によって賦活化されるキラーT細胞の存在などを明らかにした。線維化は予後不良因子ではなく、キラーT細胞の浸潤が多いほど予後が良好であったことから、肝内胆管がんに対してもがん免疫療法が適応となる可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 8件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
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