研究課題/領域番号 |
20K09021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
李 相雄 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (40368080)
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研究分担者 |
辻川 和丈 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (10207376)
谷口 高平 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70779686)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 細胞外小胞 / microRNA / 癌微小環境 / 消化器癌 / エクソソーム / マイクロべジクル / 胃癌 / Extracellur Vesicles / 微小環境 / Extracellular Vesicles |
研究開始時の研究の概要 |
細胞外小胞 (Extracellular vesicles: EVs) は、癌細胞が放出し、癌微小環境を調節するモジュールとして注目されている。しかし、多くの実験が培養細胞を主としており、臨床を反映しているか疑問の余地がある。そこで本研究では新しい概念として、手術検体から得られる組織由来EVs (Tissue-exudative EVs: Te-EVs) を解析し、Te-EVsを介した胃癌の病態解明を行う。胃癌Te-EVsが特異的に内包する分子を同定し、微小環境に対する機能解析を行う。更にEVsを標的とした創薬開発に向けた基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、消化器癌の手術標本から得られる組織由来細胞外小胞(Tissue-exudative Extracellular Vesicles: Te-EVs)の形態学的特徴や機能を解析し、癌の微小環境を明らかにすることである。COVID-19などの影響で胃癌症例が減少したため、大腸癌からもTe-EVsを回収し研究を進めた。形態学的な特徴の解析では再現性に乏しく、機能的解析に方針を転換した。 これまでの検証から、癌部、非癌部由来Te-EVsの細胞外マトリックス、マトリックスメタロプロテイナーゼに関連する癌増殖因子の発現やmicroRNAの発現変化を同定した。また、がん細胞はEV中にtRNAの断片である5'-tRNA fragmentを包含させ、炎症性サイトカインの産生を促進させることが同定され、がん細胞がEV中のRNA塩基の修飾を変えることで免疫機能の攪乱を誘導し、がん細胞の増殖に有利な微小環境を構築していることが示唆された。 また、大腸癌患者の術前術後の血液を収集し、同定したmicroRNAの変化を比較する実験を進めている。これによりTe-EVs由来のmicroRNAが血液中のmicroRNAの発現にどの程度影響を及ぼすかを明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は胃癌由来のTe-EVsの形態学的特徴の同定を中心に検証を進めていたが、実験結果の再現性が確保できない状況が続いた。さらに、COVID-19パンデミックの影響による検査数の減少、そしてピロリ菌除去治療による胃癌症例の減少が続き、計画していたペースで胃癌Te-EVsを収集することが困難な状況が継続した。途中から大腸癌Te-EVs収集にシフトし研究を進めたが、血液サンプルの収集に時間を要したため、全体として遅延が続いた。期間延長により、結果の発信を含めて当該助成による研究成果の報告を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として以下の2点を計画している。第一に、分担研究者らが進めるTe-EVsによる免疫応答を中心とした癌微小環境への影響を明らかにするため、さらなる連携を深める。第二に、大腸癌Te-EVsから同定したmicroRNAが患者血液中にどの程度影響を及ぼしているかを検討し、これまでの成果をまとめる。現在、収集した血液サンプルを用いてmicroRNAのRT-PCRの準備を進めており、次年度に実施する状況になっている。これらの活動を通じて、当該助成による成果を科学的知見として論文などで発信する計画である。
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