研究課題/領域番号 |
20K09100
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 金沢大学 (2022) 金沢医科大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
宮下 知治 金沢大学, がん進展制御研究所, 研究協力員 (30397210)
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研究分担者 |
太田 哲生 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (40194170)
源 利成 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (50239323)
島崎 猛夫 金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (50377420)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 食道発癌 / 逆流性食道炎 / GSK3β / がん悪性形質 / がん微小環境 / STAT3 / GSK 3β / 化学予防 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、胃・十二指腸液逆流による食道の持続性慢性炎症によりGSK3βを介してSTAT3リン酸化が誘導され、それが“がん細胞の悪性形質獲得”と“免疫抑制性がん微小環境の形成”に帰結するかを解明する。そして、GSK3β阻害によりこれらの腫瘍形質を“ともに制御できるか”を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、GSK3β阻害による悪性形質と微小環境両面の制御に重点を置いた新規治療法の可能性を検討とした。十二指腸胃食道逆流ラットモデルを作成し、40週目に屠殺して食道の病変を観察した。コントロール群における腺癌の発癌率は67%であったのに対し、GSK3β阻害剤投与群には腺癌は認められず、発癌が有意に低率であった(p=0.0001)。またM2型マクロファージの浸潤は癌部およびBarrett上皮部においてGSK3β阻害剤投与群では有意に低率であった(p=0.05)。以上の結果より、GSK3β阻害剤は慢性持続性食道炎による食道発癌を抑制するとともに、免疫抑制性微小環境を改変する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
欧米諸国ではBarrett食道と食道腺癌が急増し、健康被害の要因となっている。食道扁平上皮癌が依然として多い本邦でも近い将来、腺癌が食道癌の主体となることが危惧され、その早期診断、治療、予防に向けて発癌の仕組みや病態の解明が急がれる。本研究の成果から、胃・十二指腸液逆流による食道の慢性持続性炎症によりGSK3βを介してSTAT3がリン酸化され、それが上皮細胞の形質転換と悪性形質獲得、および免疫抑制性癌微小環境の形成に帰結することが確認された。したがって、GSK3β阻害は癌細胞の悪性形質獲得と免疫抑制性癌微小環境、双方の制御に基づく食道腺癌の効果的な治療戦略の一つになり得ると考えられた。
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