研究課題/領域番号 |
20K09120
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小前 兵衛 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50788883)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | iPS細胞 / 細胞シート / 心筋組織 / 成熟 / 日内変動 |
研究開始時の研究の概要 |
現段階で構築されるヒトiPS細胞由来心筋組織(以下iPS心筋組織)はまだ成熟過程のものに過ぎない。iPS心筋組織を臨床応用するためには、より成熟したiPS心筋組織を構築することが求められる。 本研究ではiPS心筋組織の、 ①:電気生理学的・力学的解析(機能解析) ②:構造学的解析 ③:分子学的解析 を経時的に行うことで、iPS心筋組織の成熟過程を総合的に明らかにすることを目指す。iPS心筋組織の成熟段階を指標化できれば、iPS心筋組織の成熟を促成する因子・条件を解明することにつながり、iPS心筋組織の臨床応用への基盤を確立できる。
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研究実績の概要 |
無胸腺ラットの皮下にヒトiPS心筋細胞シートを移植することで作製したヒトiPS心筋組織を作成した。ヒトiPS心筋組織の機能を解析するために、実験動物を円 形の専用の測定用ケージで飼育することで、測定用センサーを体内に埋め込み、導線を実験動物の項部から出してモニターに接続することができるようにした。このシステムにより、心機能にしばしば抑制的に作用する麻酔薬を使用することなく実験動物が覚醒している生理的な状態で、連続的に長期間の計測が可能になった。 心筋組織の機能の成熟を評価するためには電気生理学的機能に加えて力学的機能、他にも温度などの測定環境を同時に計測できる可能性のあるセンサーも必要となる。実験動物が覚醒した状態で長期間連続して測定するセンサーは体動や心筋組織の拍動に追随できる必要がある。この条件にとって理想的と考えた平面型のナノメッシュセンサーを使用した結果、電位計測を安定して行うことができたので、内容を論文として投稿した。 しかし、センサーの作製と供給がコロナウイルス感染などの問題で不安定となったため、iPS心筋組織の表面電位は先端がコイル状になった電極で計測した。この電極でも長期間連続して表面電位を安定して測定することに成功した。そこで得られた表面電位波形はin vivoでの培養期間によって安定し、また、日内変動のような周期を認めた。この日内変動のような周期はin vitro培養下では認められなかった。得られた結果の一部を細胞シート工学と臨床に関する複数の学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルスの状況で、長期間、研究活動に制限が加わった。複数のグループで協同して研究を行っているため、影響が大きく研究は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS心筋組織の力学的機能をin vivoで計測するのに適切なセンサーはない。必要があれば、新たに共同研究を行い開発する。電気生理学的な連続測定に関しては同一個体での経時的な電位波形の変化を解析し、組織学的、分子学的な所見の変化と関連づけて成熟過程の評価につなげる。引き続き、現状まで得られた結果をまとめて学会に報告、論文化する予定である。
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