研究課題/領域番号 |
20K09142
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
笠島 里美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20444200)
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研究分担者 |
池田 博子 金沢大学, 附属病院, 准教授 (10447675)
川島 篤弘 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20242563)
松本 康 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20262579)
尾崎 聡 金沢大学, 保健学系, 助教 (40401921)
笠島 史成 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (90303304)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | IgG4関連血管病変 / 血管炎 / 自然免疫 / Toll like receptor / IgG4関連疾患 / Toll-like receptors / 血管発生 / 標的血管分布 |
研究開始時の研究の概要 |
IgG4-VDは,新しい炎症性動脈疾患概念である.好発部位は腹部大動脈であり,血清IgG4高値と動脈外膜を中心としたIgG4陽性細胞浸潤を特徴とする. Toll-like receptors(TLRs)は,免疫細胞の分化,活性化に関連し,疾患により各種TLRsの動態が異なる.発生学的に,動脈部位により,各種TLRsの分布には差異がある.本研究では,健常動脈及びIgG4-VDの標的血管における各種TLRsの分布と,それらを発現する免疫細胞の異動を比較検討し,IgG4-VDの病態が免疫異常が引き起こす‘血管炎’である事を明らかにする.
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研究実績の概要 |
IgG4関連血管病変(IgG4-related vascular disease;IgG4-VD)は,動脈瘤や動脈周囲炎を呈する炎症性動脈病変の新しい疾患概念である.好発部位は腹部大動脈であり,血清IgG4高値と動脈外膜を中心としたIgG4陽性細胞浸潤を特徴とする.近年,申請者はIgG4-VDの血管外膜に存在するM2組織球と樹状細胞が,病態の進行に寄与する事を明らかにした.一方,Toll-like receptors (TLRs) は微生物などの構成成分を見分け,炎症性サイトカイン産生の誘導を行う自然免疫系のセンサーであり,ヒトでは10種類同定されている.TLRsはM2組織球や樹状細胞等の多種類の免疫細胞の分化や活性化に関連しており,様々な自己免疫疾患において各種TLRsの動態が異なり,病因病態との関連が注目されている.近年,発生学的に,動脈部位によってTLRsの分布に差異があるという報告があるがその詳細は未だ不明点が多い.大血管炎として高安動脈炎は胸部大動脈から頸部動脈が,側頭動脈炎は側頭動脈が好発部位として有名であり,大動脈ではTLR1,2,3,4,7 側頭動脈ではTLR1,2,4の発現が報告されており,血管のTLRs分布と動脈病変の好発部位との関連性が推察されている.本研究では,健常動脈及び大血管病変,IgG4-VDの標的血管における各種TLRsの分布とそれらを発現する細胞種類の異動について,画像解析を用いた全標本解析を施行することにより,血管部位毎及び血管の各層毎に比較検討する.本研究の結果は,免疫疾患としてのIgG4-VDの病因病態を明らかにすることにより,血管炎としての特徴を確認し,更には新たな治療戦略に繋がると期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常血管 (15例) は8カ所 (胸部大動脈,腹部大動脈,頸動脈,冠動脈,腎動脈,腹部分枝,腸骨動脈) , 血管病変として巨細胞性血管炎(GCA) 11例の側頭動脈,高安病(TAK) 4例の胸部大動脈,IgG4-VDとしてIgG4関連炎症性腹部大動脈瘤(IgG4-AAA)12例の腹部大動脈,非IgG4関連炎症性大動脈脈流 (non-IgG4-IAAA) 10例の腹部大動脈10例を対象として,TLR10種類の中から血管好発のTLRs(TLR4,5,7,9)を選択し,その免疫組織化学染色を行い, 標本全体をデジタル化し, QuPathにて画像解析を行った.血管壁は正常では,内膜/中膜/外膜の3層を,血管病変では中膜の破壊が強く外膜と区分できない例が多い事から,内膜/中外膜の2層に区分し,全標本解析にて単位面積あたりの各TLRs陽性細胞数を算出が終了している.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はTLRs陽性細胞の種類の検討を進める.特に形質細胞様樹状細胞(pDC)はTLR7,TLR9のみを発現する抗原提示細胞であり,IgG4-RDとの関連性が高いと報告されているため,TLR7陽性pDC及びTLR9陽性pDCの正常および血管病変における分布について,二重免疫組織化学及びdual in situ hybridizationで検討する.
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