研究課題/領域番号 |
20K09150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古山 正 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00419590)
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研究分担者 |
松本 拓也 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター臨床研究部, 血管外科医長 (20374168)
森崎 浩一 九州大学, 大学病院, 助教 (30625801)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 腹部大動脈瘤 / 腸内細菌 / バクテリアルトランスロケーション / 動脈硬化 |
研究開始時の研究の概要 |
腹部大動脈瘤は動脈壁の構造の破壊に伴い、血管内腔が拡大することが特徴の動脈硬化性疾患の一つである。破裂時は75-90%の死亡率を有し、本邦では、人口10万人当たり8.5人が死亡しているといわれている。 腹部大動脈瘤の成因としては動脈硬化性が最も多い。動脈硬化性の成因としては炎症や免疫反応が大きく関与していると言われている。最近注目されている腸内細菌であるが、腸内細菌と動脈硬化性疾患との関連の報告が散見される。今回、我々はヒト腹部大動脈瘤の成因へ、腸内細菌がどのような影響を与えるかを検討し、ヒト腹部大動脈瘤形成のメカニズムを解明することを目的とした。
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研究成果の概要 |
本研究は腹部大動脈瘤患者の動脈瘤壁および血液へのバクテリアルトランスロケーションを検出し、腸内細菌の腹部大動脈瘤への影響を調べることを目的とした。2017年から2019年までの期間で、腹部大動脈瘤患者30名を対象とし、高感度の定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を用いて動脈瘤壁と血液を解析した。腸内細菌叢は次世代シーケンサーを用いて解析した。30例中、血液19例(検出率63%)、動脈瘤壁11例(検出率37%)で細菌が検出された。腹部大動脈瘤患者における腸内細菌叢の乱れと血液および動脈瘤壁へのバクテリアルトランスロケーションが確認され、腸内細菌と腹部大動脈瘤との関連性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において、腹部大動脈瘤患者におけるBacteroidetes門の構成比の減少とF/B比増加という腸内細菌叢の乱れを認め、腸内細菌のF/B比の増加が動脈硬化や腹部大動脈瘤発症の重要な側面である可能性が示唆された。また、RT-qPCR法を用いてAAA患者における動脈瘤壁や血液へのBTを検出したのは本研究が初めてであり、それは高感度RT-qPCR法によって可能となった。本研究の血液検体の検出率は63%、動脈瘤壁の検出率は37%であった。糖尿病を有する患者は8例(28%)という報告に比較して、我々の検出率は非常に高く、細菌検出と腹部大動脈瘤の関連性が示唆される結果であった。
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