研究課題/領域番号 |
20K09196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
谷西 秀紀 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (40509428)
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研究分担者 |
小林 求 岡山大学, 大学病院, 講師 (00457219)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 一酸化窒素吸入 / ラット中大脳動脈閉塞 / 神経学的評価 / 包括的神経学的スケール / 脳梗塞 / 脳保護 / 一酸化窒素 / 神経学的予後 / 中大脳動脈閉塞ラット |
研究開始時の研究の概要 |
脳虚血時の一酸化窒素(Nitric oxide: NO)が神経学的予後に与える影響は悲観的ではあるが、血管内皮細胞由来NO合成酵素の活性化による血管拡張作用が優位であれば予後を改善させる可能性がある。NO吸入はすでに臨床で使用されている手技であり脳保護的に働くならすぐにでも臨床応用可能であるが、くも膜下出血モデル以外での報告はみられない。本研究ではラット中大脳動脈閉塞モデルを用い、虚血開始後のNO吸入が虚血後最大4週にわたる神経学的、組織学的予後に与える影響を検証する。またNO吸入が中大脳動脈を拡張させるか経時的に捉えるとともに、炎症と細胞死に与える影響についても評価する。
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研究実績の概要 |
2022年度は2021年度より引き続き、虚血開始15分後から吸入一酸化窒素(NO)濃度を20ppm、40ppm、コントロール(NOを吸入させない)の3群にて、永久中大脳動脈虚血開始後1時間のNO吸入が虚血1週間後の神経学的予後に与える影響に関する検討を行った。その結果、40ppm投与でわずかに神経学的予後を改善させる可能性は示唆されたが、有意差を得るには至らなかった。この結果を受け、40ppmのNO投与とコントロールの2群において永久中大脳動脈虚血開始15分後から3時間のNO投与が虚血1週後の神経学的予後に影響を与えるか検討を加えた。こちらはNO投与群のラットの経過中死亡率をコントロールに比べ有意に低下させることはできたものの、1週間生存できたラットについては神経学的予後に有意差を認めず、臨床的には永久虚血開始後のNO投与は神経学的予後を改善させる効果は小さいとの結論に達した。NO投与が免疫組織化学的にも脳保護効果が有意ではないのか、あるいはNOの有意な脳保護効果自体は存在するがそれが臨床的には十分ではない(永久虚血自体が虚血負荷として強すぎてNOの効果を打ち消している)のかを検証するため、永久中大脳動脈閉塞時のNOの3時間吸入が血管拡張因子(cGMP)、炎症性サイトカイン、アポトーシスに与える影響につき現在実験進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020、2021年度は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言などによる影響を受け、研究室内での実験が中断する時期もあったが、2022年度はほぼ予定通りのスケジュールで実験を行うことができた。研究期間全体として見ると遅れを完全に取り戻せたわけではないため、最終年度を延長することで予定している実験を完遂したい。
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今後の研究の推進方策 |
永久虚血時のNO投与が血管拡張因子、炎症性サイトカイン、アポトーシスに与える影響については現在実験進行中であり、早期に一定の結論を得たい。臨床的にはNO吸入は永久虚血時(一時虚血モデルにおける虚血中もおそらく)の神経学的予後を改善させる能力は持ち合わせていないことが判明したので、NO投与が炎症性サイトカイン、アポトーシスを抑制する方向に働くのであれば、一時的中大脳動脈虚血時の再灌流後のNO投与が虚血再灌流障害を軽減し、神経学的予後を改善させるかどうかの検証を追加で行いたい。合わせて研究成果の学会発表と論文化を早急に行っていく。
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