研究課題/領域番号 |
20K09212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
佐古田 三郎 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター, 名誉院長 (00178625)
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研究分担者 |
遠藤 卓行 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター, 研究員(移行) (40573225)
松岡 由里子 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター, 漢方・ペインクリニック内科医長 (70865790)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 生体制御治療 / 疼痛治療 |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病患者によくみられる立位や歩行時の腹部の痛みやしめつけ感は、パーキンソン病の内服薬では消失せず、日常生活を著しく悪化させる大きな原因の1つとなっている。我々は、この病態が腹部の皮神経という細い神経が締め付けられる「腹部皮神経絞扼症候群」によるものではないかと考え、症状を認めた部位をターゲットに、局所麻酔によるブロック注射を施行したところ、この痛みや絞扼感が消失しただけでなく、姿勢も改善した。本研究では、パーキンソン病患者の姿勢と腹部しめつけ感を同時に定量化し、ブロック注射の治療ガイドラインを作成することを目的とする。これにより、パーキンソン病患者の生活向上が期待される。
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研究実績の概要 |
【パーキンソン病患者の神経症状の評価】腹部絞扼感と姿勢異常を認めるパーキンソン病患者20例を対象とし、入院にて臨床評価(Unified Parkinson Disease Rating Scale)、胸部レントゲン、胸腰椎MRI、ペイン問診票、リハビリ評価、疼痛記録などの事前検査を行なう。今年度は新たに5例の患者から同意取得し、ブロック注射およびリハビリを実施した。5例はいずれも良好な結果が得られた。 【PD患者への局所麻酔剤注射実施】腹部末梢神経ブロック(ロピバカイン0.1-0.18%)を実施し、注射実施後に臨床評価、リハビリ評価、疼痛問診票などで効果を判定する。 【立位・歩行時体幹姿勢計測】立位・歩行中における対象患者の体幹の姿勢を、携帯型3軸加速度・ジャイロセンサ(アクチグラフリンク・アクチグラフ社製)を用いて計測した。また、歩行中の体幹の平均傾斜角度は、オフライン解析で、センサー出力値から低周波成分のみを抽出することで算出・推定した。 【学会発表】本年度までにデータ収集が終了した症例の研究成果を、第41回日本神経治療学会学術集会でポスター発表を行い、多数の反響を得た。歩行中の姿勢計測については、治療前と比べて治療2週後で改善を認めたが、治療24週後でも一定程度の改善が維持された症例を報告し、長期的な効果が期待できる可能性を示した。 また、治療24週後までフォローできた5例について、UPDRS part IIIスコア、NRS(痛みスケール)、PDQ-39スコアの変化を解析し、NRSについては5例中4例が0となるなど痛みへの効果が著明であること、またUPDRS part IIIの姿勢・歩行スコアについても改善が維持される例があることなどが示された。上記成果については、第65回日本神経学会学術大会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
補助事業期間全体で20例の患者登録を予定していたが、4年間で18例の登録および治療、データ取得を終えて解析をすすめている。新型コロナウイルスの感染拡大による脳神経内科病床縮小の影響を大きく受けており、本研究では患者を入院させて腹部ブロック注射を実施する必要があることから、患者登録がすすまなかった。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間を1年延長し、引き続き患者登録、治療、データ取得をすすめる。UMIN-CTRへの臨床研究登録はすでにすませており、引き続き病院ホームページへの掲載、患者会での広報などを通じて患者登録を促進していく予定である。最終的には20例以上の登録数を達成し、脱落例を除いた最低15例程度のデータをもとに最終的な有効性評価と、治療効果を持続させるためのリハビリプログラムを決定する。
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