研究課題/領域番号 |
20K09241
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
福島 豊 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10422891)
|
研究分担者 |
北川 裕利 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50252391)
小嶋 亜希子 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50447877)
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 理事 (60238962)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 揮発性麻酔薬 / セボフルラン / Nav1.5チャネル / 遺伝性不整脈 / LQT / 麻酔 / late Na+ current / プロポフォール / デスフルラン / LQT3 / 全身麻酔 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、先天性LQTやブルガダ症候群などの遺伝性不整脈の原因となるNav1.5チャネルの変異体に対する揮発性麻酔薬の修飾作用を、部位特異的変異導入法、パッチクランプ法、コンピューターシミュレーション法を用いて明らかにすることを目指す。遺伝性不整脈に対する遺伝子検査の結果と本研究の結果を組み合わせることで、遺伝性不整脈患者に対する麻酔の安全性が飛躍的に向上することが期待できる。
|
研究実績の概要 |
先天性QT延長症候群(先天性LQT)やBrugada症候群などの遺伝性不整脈は、心臓イオンチャネルタンパク質の発現をコードする遺伝子の変異に伴ってイオンチャネルの様々な機能異常が惹起されることで起こる。揮発性麻酔薬はQT時間を延長するため、これらの遺伝性不整脈を有する患者に対する使用は、QT時間のさらなる延長やTorsades de Pointesの誘発を生じる可能性がある。しかし、遺伝性不整脈の原因となる変異体チャネルに対する揮発性麻酔薬の修飾作用についての報告は限られている。本研究 は、LQT3やBrugada症候群の原因となるNav1.5チャネルの変異体に対する揮発性麻酔薬の修飾作用を明らかにすることを目的としている。 LQT3はNav1.5チャネルの遺伝子変異により、late Na+ currentが増大することでQT時間が延長する。2023年度は、late Na+ currentに対するセボフルランの効果をプロポフォールの効果と比較するした。LQT3の原因遺伝子として報告のあるSCN5A-N1774Dを用いて作成された変異Nav1.5(Nav1.5-N1774D)チャネルは、野生型Nav1.5チャネルに比べてlate Na+ currentが増大した。セボフルラン4%は野生型及びNav1.5-N1774Dチャネルのピーク電流にはほとんど抑制作用を示さなかったが、Nav1.5-N1774Dチャネルのlate Na+ currentを有意に抑制した。一方、3μMのプロポフォールはNav1.5-N1774Dチャネルのピーク電流、late Na+ currentともにほとんど影響を与えなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
late Na+ currentはNav1.5チャネルのピーク電流に比べてわずかな電流である。このわずかな電流であるlate Na+ currentに対する薬剤の効果を検討することが難しく、時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
Nav1.5野生型およびN1774Dチャネルの活性化、不活性化の膜電位依存性に対するセボフルランの作用をさらに検討する予定である。 また、ヒト心室筋のシミュ レーションモデルであるO’Hara-Rudy dynamicモデルを用いて、Nav1.5-N1774Dチャネルの活動電位持続時間(APD)に対するセボフルラン、プロポフォールの効果を検討する予定である。
|