研究課題/領域番号 |
20K09242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
溝田 敏幸 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80596198)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 骨格筋量 / 日常生活動作 / 呼吸機能 / 麻酔 / 合併症 / 手術 / 予測因子 / 高齢 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高齢手術患者における周術期ADL低下の予測因子を明らかにする。ADL低下の予測因子の候補として特に骨格筋量に着目する。具体的には、①高リスク手術を受ける65歳以上の高齢者を対象として骨格筋量が周術期ADL低下に及ぼす影響を解明するための大規模前向きコホート研究を遂行する、②上記コホートを用いてADL低下と関連する周術期の呼吸・循環管理方法や周術期合併症を探索する。本研究の成果からは、ADL維持のための周術期管理指針の策定に寄与するという高い臨床的波及効果が期待できる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、プロポフォールの脳内濃度の予測モデルの構築に関する研究、新型コロナウイルス感染症が集中治療に及ぼした影響に関する国際共同研究、覚醒下手術における合併症調査などに取り組んだ。 プロポフォールの薬物動態は、ヒトの血液サンプルを用いて広範囲に研究され、標的制御点滴システムにも応用されているが、脳内濃度に関する情報はまだ少ない。そこで、覚醒下開頭手術を受けた患者においてプロポフォールの血漿中濃度と脳内濃度を同時に測定し、新たな薬物動態モデルを確立した。プロポフォールの脳内濃度は血漿中濃度よりも高かった。測定された脳内濃度は、以前のモデルを用いた効果部位濃度よりも高かった。脳/血漿分配係数(Kp値)を組み込むことにより、測定濃度に基づいて拡張モデルを構築した。拡張モデルは、検証群の脳内濃度に対して良好な予測精度を示した。新型コロナウイルス感染症のパンデミック前(2017年)とパンデミック中(2022年)のアジアの国・地域における人口規模に対する成人重症患者病床数を比較する国際共同研究に取り組んだ。人口10万人当たりの累積重症病床数は、2017年の3.0床から2022年には9.4床に増加した(p = 0.003)。長時間の覚醒を必要とする覚醒下手術での合併症発症状況が知られていなかったため、長時間の覚醒を伴う覚醒下手術における合併症発症状況調査を実施した。また、日本Awake Surgery学会主導の覚醒下手術ガイドライン策定に関わった。「手術手技」「麻酔管理」「言語評価」の論文のシステマティックレビューに基づきガイドラインを策定した。術前の呼吸機能検査と術後呼吸不全の関連に関する論文を学術雑誌に投稿中である。 上記の研究は手術患者の安全な管理と円滑な回復、ひいては日常生活活動維持につながると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者との濃厚な接触が必要となる研究計画から異なるアプローチでの研究を模索していた。
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今後の研究の推進方策 |
術前の呼吸機能検査と術後呼吸不全の関連に関する論文を学術雑誌に投稿中であり、この受理に向けて努力していきたい。また、周術期の循環動態と術後経過との関連を調査する研究の準備を進めており、これを推進していく。手術患者の日常生活活動維持のための研究を推進していきたい。
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