研究課題/領域番号 |
20K09251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
田中 基 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (20303787)
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研究分担者 |
志田 恭子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (00381880)
大澤 匡弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (80369173)
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90264738)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 疼痛 / 大規模脳活動記録 / カルシウムイメージング / 痛みの認知 |
研究開始時の研究の概要 |
「痛み」という重要な刺激の情報処理方法、脳領域の伝わり方、記憶の貯蔵方法、そして表象の仕組みについては、依然として不明である。脳領域がどのような機能連関をして感覚を認識するかも明らかでない。広範で複数の脳領域の神経細胞活動を測定するためには、高速・高密度の記録が必要であり、大規模神経活動イメージングや多点電極を用いた電気生理学的測定が必須である。 本研究では、高密度多点電極を用いた電気生理学的解析により、痛み刺激による各脳領域の情報伝達を定量化し、カルシウムイメージング法により痛み情報の認知時に活性化する細胞を同定する。さらに、その細胞を人為的に機能調節し、痛みが緩和するかを動物実験で確認する。
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研究成果の概要 |
本研究では、遺伝子工学による特定神経回路の人為的機能調節技術を用いて、視床背内側核(MD)から前帯状回皮質(ACC)へ投射する神経回路のみの機能調節を興奮性のデザイナー受容体であるhM3Dqならびに抑制性のデザイナー受容体であるhM4Diにより行い、慢性疼痛への関与を検討した。MDからACCへ投射する神経回路の活性化を単回行うと、一過性の痛覚感受性の亢進が見られ、繰り返し活性化すると長期にわたる痛覚感受性の亢進が見られた。また、神経障害により痛みを感じやすくした際に、MDからACCへ投射する神経回路を長期的に抑制すると痛み閾値の低下が消失した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
超高齢社会になり、慢性的な痛みに悩まされる人たちが増加している。特に、既存の鎮痛薬によっては緩和できない痛みである神経障害による痛みは、患者の生活の質を著しく低下し、労働生産性についても甚大な影響を与える。本研究では、慢性的な痛みが脳内の特定の神経回路の異常により誘発されることを明らかにし、さらに神経障害による病的な痛みに関わる神経回路を明らかにしたことから、社会的意義は高い。また、遺伝子工学とデザイナー受容体の技術を組み合わせることで、特定の神経回路のみの機能調節を行い、慢性疼痛に関与する神経回路を明らかにしたことから、学術的意義も高い。
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