研究課題/領域番号 |
20K09267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
泉 友則 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00261694)
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研究分担者 |
田岡 万悟 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (60271160)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 組織損傷 / タンパク質漏出 / 貪食細胞 / 炎症 / 漏出タンパク質 / 細胞質漏出 |
研究開始時の研究の概要 |
損傷組織から漏出する細胞内タンパク質の細胞外での新たな役割が注目されている。本研究では、申請者らが新たに見出した単球表面への結合能を有する細胞外機能分子について、貪食細胞への作用という観点から、分化誘導後のヒト単球系細胞株における(1) 表面受容体への結合、(2) 運動性と損傷部位への誘導、(3) 貪食、(4) 炎症性・抗炎症性応答の調節、以上4点について解析し、ターゲットを特定するとともに、その分子機序を明らかにする。急性期病態での役割が善玉であるか悪玉であるかを判定し、新たな治療法への応用につなげる。
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研究成果の概要 |
組織損傷にともない、様々な細胞内タンパク質が漏出するが、細胞外での機能的意義の多くは不明である。我々は、これまでに、単球や内皮への作用を示す細胞外機能分子を同定した。本機能分子の役割を明らかにするために、貪食細胞への影響を解析した。マクロファージ様に分化させたTHP-1細胞を用いた実験で、本機能分子は貪食を促進させ、IL-10の産生も増強した。これは、本機能分子がマクロファージに直接作用し、貪食を促進する一方で、抗炎症性サイトカインにより炎症を終息に導くことを示唆している。急性期病態の観点からは、本機能分子は、サイトカインストームなど、過剰な炎症反応を防ぐ善玉の役割を担っていると結論づけた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、既知の細胞内タンパク質が、細胞外では予想外の新しい役割を果たしていることが明らかとなった。急性期病態という観点からは、組織損傷により漏出した細胞内タンパク質が、マクロファージによる損傷組織の除去に直接作用するだけではなく、さらに過剰な炎症拡大を抑えるために抗炎症性サイトカインの産生も促進していることを示しており、サイトカインストーム等の病態を左右する新たな機序のひとつになるかもしれない。漏出細胞内タンパク質の役割を新たな軸のひとつとしてとらえ、組織損傷と修復過程の全体についての理解が進めば、病態のモニターや新しいタイプの創薬ターゲットとして、臨床への応用も期待できる。
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